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過労死等としての精神障害による自殺

過労死等防止調査研究センターでは、厚生労働省労災疾病臨床研究事業費補助金により平成27年度から「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究」を開始し、過労死等の実態把握、その発生メカニズムの解明及び効果的な防止対策などについて調査研究を進めています。
これらの調査研究の成果については、毎年、厚生労働省から発行される「過労死等防止対策白書」のデータとして活用されています。以下に令和3年版の「過労死等防止対策白書」に掲載された、精神障害による自殺の特徴を示します。
(以下、白書のとおり)

精神障害事案のうち自殺事案の抽出・分析

平成24 年度から平成29 年度までに認定基準に基づき労災支給決定(認定)された精神障害事案のうち、自殺事案(自殺未遂等の事案を除く。以下同じ。)497 件を抽出して分析を行いました。自殺事案497 件のうち、479 件(96.4%)が男性、18 件(3.6%)が女性でした。 発病時の年齢階層別にみると、発病年齢が「40~49 歳」が163 件(32.8%)と最も多く、次いで「30~39 歳」が129 件(26.0%)、「29 歳以下」が99 件(19.9%)でした(第2-1-11図)。

業種別にみると、自殺事案数は「製造業」が107 件(21.5%)と最も多く、次いで「建設業」が77 件(15.5%)、「卸売業,小売業」が63 件(12.7%)でした(第2-1-12 図)。

職種別にみると、自殺事案数は「専門的・技術的職業従事者」が175 件(35.2%)と最も多く、次いで「管理的職業従事者」が82 件(16.5%)、「事務従事者」が77 件(15.5%)でした(第2-1-13 図)。

自殺の時期について、月別にみると、自殺事案数は「3月」、「10 月」が50 件(10.1%)と最も多く、次いで「5月」が46 件(9.3%)、「7月」が44 件(8.9%)でした(第2-1-14図)。

自殺の時期について、曜日別にみると、自殺事案数は「月曜日」が87 件(17.5%)と最も多く、次いで「火曜日」 が83 件(16.7%)、「木曜日」が77 件(15.5%)でした(第2-1-15 図)。

発病から死亡までの日数別にみると、自殺事案数は「6日以下」が235 件(47.3%)でした(第2-1-16 図)。

具体的出来事別の自殺事案数をみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が177 件(35.6%)と最も多く、次いで「2週間以上にわたって連続勤務を行った」が109 件(21.9%)、「上司とのトラブルがあった」が92 件(18.5%)でした。 また、「極度の長時間労働」が88 件(17.7%)、「恒常的な長時間労働」が201 件(40.4%)でした(第2-1-17 図)。

労災支給決定(認定)事案の疾病に関する精神科等の医療機関の受診状況をみると、自殺事案数は「受診歴あり」が179 件(36.0%)、「受診歴なし」が318 件(64.0%)であった。 「極度の長時間労働」があった事案について、同様に受診状況をみると、自殺事案数は「受診歴あり」が21 件(23.9%)、「受診歴なし」が67 件(76.1%)でした(第2-1-18 図)。

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