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振動ばく露が人体に及ぼす影響

人体が振動を長期的かつ断続的にばく露することにより、さまざまな悪影響が人体に生じることが知られています。

例えば手に長期的かつ断続的に振動を受ける(手腕振動といいます)場合、振動障害という病気を発症することが知られており、座った姿勢などで全身に振動を受ける(全身振動といいます)場合、腰痛の悪化などが代表例としてあげられます。

振動実験施設では、これまで

  1. 許容可能な振動の強さと時間の検討
  2. 作業姿勢と振動ばく露量の関係
  3. 体に伝わる振動を弱める保護具の開発
  4. 振動障害を未然に防ぐためのばく露指標の開発

に関する研究を行うとともに、これらに関連したISO規格・JIS規格の制定・改定へ貢献しています。

手腕振動に関する研究への取り組み

振動障害予備群早期発見のための指標の開発
振動障害は、振動ばく露の影響が数年から数十年累積されることにより、指先の痛み・しびれや感覚の鈍麻、血行の阻害(指先が白くなります)といった形であらわれます。残念ながら、従来の健診等で行われる検査方法等では振動障害予備群を早期に発見することができませんでした。安衛研では、指先振動感覚閾値の測定をもとに、環境条件や個人差の影響を受けにくい普遍的な指標VPTWを見出すことに成功しました。この指標は、今後振動要害予備群を早期に発見する指標として期待されます。

メーカーとの共同による防振手袋の開発・性能評価
高性能な振動軽減性能をもつ防振手袋を開発するためには、試作品の振動軽減性能を測定・評価することが必要になります。安衛研の振動測定・評価の技術を防振手袋の開発メーカーに供与することにより、防振手袋の性能評価を定めたISO規格ISO10819およびJIS規格JIS T8114に適合する防振手袋の開発に貢献しています。

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