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低周波音の影響に関する研究
周波数が概ね100 Hz以下の音を「低周波音」と言います。
低周波音に対する人の聴覚感度は鈍いため、低周波音が大きな音として感じられることは少なく、結果として聴力への影響はほとんどありません。しかし一方で、低周波音には振動感を生じさせるという特徴があり、それが不快感の一因になっていると考えられています。
当研究所では特に振動感覚に着目して、低周波音による影響の研究に取り組んでいます。
低周波音の影響に関する研究
右のグラフは、低周波域の純音による「頭部の振動感覚」閾値を調べた結果です。低周波音による振動感覚は頭部で知覚されやすいので、その閾値を調べました。
その結果、「頭部の振動感覚」閾値は、聴覚閾値よりも数~10 dB以上も高いことが分かりました。このことから、振動感覚の誘起は低周波音の特徴ですが、基本的には低周波音も聴覚で知覚されると考えられます。

低周波音の影響に関する研究(続き)

これらはまだ基礎的な研究成果であって、実用的な評価基準ではありませんが、将来的には、振動感覚の影響も考慮した低周波音の影響評価方法の確立に結び付けたいと考えています。
これらの他にも、
- 低周波音によって人体に誘起される振動と振動感覚の関係についての研究
- その振動の効果を考慮した、高レベル低周波音の評価方法の研究
- 低周波音によって生じる振動感覚と不快感の関係に関する研究
などを実施。