労働安全衛生総合研究所

安衛研ニュースNo. 144 (2021-01-08)


* 本メールは労働安全衛生総合研究所に配信を登録された方に配信しています。
** 次回配信予定:2021年2月5日(毎月第一金曜日発行)
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目次
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【144-1】新年のご挨拶(労働安全衛生総合研究所 所長 梅崎 重夫)

【144-2】お知らせ
  1. INDUSTRIAL HEALTH Vol.58 No.6 の発行・公開

【144-3】コラム
  1. 「事故に学ぶ静電気ハザード」
      (電気安全研究グループ 統括研究員  大澤 敦)
  2. 「安全と心身の健康に共通する課題としての組織要因」
      (過労死等防止調査研究センター 特定有期雇用職員 鈴木 一弥)

【144-4】労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
  1. 「石綿関連疾患診断技術研修(基礎・読影研修)」について
  2. 「早期復職」について

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【144-1】新年のご挨拶
   (労働安全衛生総合研究所 所長 梅崎 重夫)
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 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所長の梅崎でございます。
 皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も当研究所をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、日本の企業でもこれまで経験したことのない対応を迫られることになりました。特に、医療業界、航空業界、旅行業界、飲食業界などで働いている方々にとっては、大変な御苦労をされた一年であったと思います。また、他の業界でも働き方の変更を迫られ、戸惑う方々も多かったと思います。

 当研究所も、4月に発令された緊急事態宣言下にあっては、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部や労働者健康安全機構の指示に従い、業務を一定程度縮小せざるを得ませんでした。また、その後の第2波、第3波というコロナ禍の中で、新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理を徹底しながら研究業務等を遂行し、中期目標及び中期計画に定められた目標の達成を目指してきました。
 このようなコロナ禍の中でも、当研究所の業務が、労働者の健康と安全を守るため、①現場のニーズを的確に把握し、②把握したニーズや労働安全衛生行政の課題を踏まえた研究課題・テーマを選定し、③研究業務を確実に実施し、④行政機関、事業場、学会、災害防止団体等と連携し、労働災害や疾病の減少に結び付けて行くことが引き続き当研究所に与えられたミッションであることに変わりはありません。

 2021年は、2020年の経験も踏まえ、労働安全分野では、機械安全、建設安全、化学安全、電気安全、人間工学、リスク管理などに関する研究に取り組んで行きたいと考えております。また、労働衛生分野では、過労死等の実態解明と防止対策、化学物質の情報管理、放射線障害の防止とともに、産業保健、環境計測、人間工学などに関する研究に取り組んで行きたいと考えております。さらに、高度な専門的知見に基づく労働災害の原因調査と再発防止策の解明に取り組んで行きたいと考えております。

 新型コロナウイルス感染症の終息が見込めない中で、日本経済が引き続き厳しい状況にあるのは避けられないと思います。一方、諸外国では新型コロナウイルス感染症に対するワクチンが実用化されるなど、明るい兆しも見えてきています。
 ぜひ、日本の労働安全衛生に携われる方々におかれましては、昨年の経験を活かして新しい働き方や労働安全衛生活動の未来を見据えた創造の一年にして頂ければと考えております。

  新しい年が、日本の労働現場で働かれる皆様にとって素晴らしい年となることを祈念して、新年のご挨拶とさせて頂きます。

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【144-2】お知らせ
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1. INDUSTRIAL HEALTH Vol.58 No.6の発行・公開

 当研究所の英文学術誌であるINDUSTRIAL HEALTH Vol.58, No.6を発行・公開しました。
 巻頭言では、バイオロジカルモニタリングの必要性と価値について、英国健康安全庁のケイト・ジョーンズ博士に解説していただきました。
 総説として、ナノマテリアルばく露に伴う酸化ストレス(イラン)、腰痛予防の介入策(ポーランド)がまとめられています。
 原著としては、業務上の出来事と抑うつとの前向き関連(労働安全衛生総合研究所・過労死等センター)、保育士・幼稚園教諭の心理的不調(日本)、鉄道車両整備士の振動関連障害(米国)などが報告されています。また、症例報告では、仕事で悲惨な出来事に遭遇した心的外傷後ストレス障害(イタリア)なども紹介されています。

 ご一読いただくとともに、皆さまの研究成果も積極的に投稿していただけますと幸いです。

 ご質問などがございましたら、本誌事務局( ihjim@h.jniosh.johas.go.jp )までお気軽にお問い合わせください。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/indhealth/(J-STAGE)


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【144-3】コラム
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1.「事故に学ぶ静電気ハザード」
 (電気安全研究グループ 統括研究員 大澤 敦)

 静電気が原因の事故は、静電気対策を実施しているといっているところでさえも(結果的にハザードの抜けや対策が不十分であった)、未だに起きています。これらの事故は軽微なものもあるが、設備の損害のほかに死亡も含めた被災者を伴う重大な災害となることも残念ながら少なくないです。
 リスクアセスメントが誕生した経緯にみられるように、事故を教訓として、事故に学ぶことは重要です。
 本コラムでは、どのような可燃性雰囲気が形成され、どのようにして帯電が起こり、どんな静電気放電が着火源となり、どのような工程や作業において事故に至ったかの傾向を述べます。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2020/144-column-1.html


2.「安全と心身の健康に共通する課題としての組織要因」
 (過労死等防止調査研究センター 特定有期雇用職員 鈴木 一弥)

 我が国の深刻な過労死問題に対応するため「過労死等防止対策推進法」が2014年に施行されました。この法律では、過重な働き方などが原因の脳・心臓疾患および精神疾患と、死に至らない疾患を含む包括的な「過労死等」の定義が決められ、包括的かつ多面的な防止対策の推進が定められました。
 本コラムでは、働く人々の心身双方の健康が産業安全とも密接に結びついていることを述べます。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2020/144-column-2.html


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【144-4】労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
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1. 「石綿関連疾患診断技術研修(基礎・読影研修)」について
 
 石綿(アスベスト)は耐熱性等に優れた天然の鉱物繊維で、建設資材や自動車部品などに利用されてきましたが、吸入すると肺がんや中皮腫などの原因となることから、現在使用が禁止されています。
 これら石綿繊維によって引き起こされる石綿関連疾患の診断および石綿ばく露所見の判定にはエックス線写真の読影等が必要となりますが、その判断が困難な事例も多くあります。また、診断を行うには、医学的な知識や経験に加え、石綿ばく露等についての知識も必要となります。
 当機構では、呼吸器系の疾患を取り扱う医師や産業医などの医療関係者を対象に、石綿関連疾患の診断技術の向上と労災補償制度の周知を図るため、同診断方法および石綿ばく露の所見に関する読影方法や労災補償制度の取扱い等についての研修を開催しています。

 令和2年度の「石綿関連疾患診断技術研修(基礎・読影研修)」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、従来の集合形式ではなく、オンデマンド形式で開催することにしました。

 オンデマンド形式の研修では、基礎研修・読影研修の各カリキュラムについてオンデマンドによる講義動画の配信を行います。研修の詳細を労災疾病等医学研究普及サイトに掲載していますので、下記URLをご覧ください。

https://www.research.johas.go.jp/asbestokenshu/


2. 「早期復職」について

 現在、がんは我が国における死因のトップであり、2~3人に1人は生涯の間にがんと診断されます。また、3人に1人は就労可能な年齢でがんと診断されており、がんと診断された後も仕事を続ける勤労者は、今後増えることが予想されています。
 がん患者さんが復職するために最も重要なことは体力の維持・増進とされており、そのためには「運動療法」と「食事療法」が効果的であると考えられています。

 平成30年7月から開始した本研究は、がん治療のために手術を受ける患者さんを対象として、持久力や筋力を強化する「運動療法」と最適な蛋白質を摂取する「食事療法」を、手術の前から一定期間実施します。そして退院後9週目まで血液検査や体力測定等を行うとともに、復職の状況を調査します。

 復職を目指すがん患者さんに対して、「運動療法」と「栄養療法」を行い、持久力や筋力の効率的な改善ができれば、患者さんの早期復職およびキャリア維持並びに職業生活の維持に大きく寄与することができると考えています。
 中間報告として、令和2年6月までに19例を収集しており、症例数の蓄積を継続しています。

 本研究の詳細については、下記の「労災疾病等医学研究普及サイト」をご覧ください。

https://www.research.johas.go.jp/souki2018/index.html


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mailmag@s.jniosh.johas.go.jp まで

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