労働安全衛生総合研究所とは
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所
労働安全衛生総合研究所は、科学的な研究活動によって、 職場における労働者の安全、及び、健康の確保に資する 研究を続けています。
1 労働安全衛生総合研究所の役割
働く方々が職場で、または仕事に起因して負傷したり、病気になったり、ましてや死亡するようなことは、本人や家族にとって大変に 不幸なことであることはもとより、国の産業の健全な発展にとっても看過できない問題です。事業者、労働者、行政等の関係者が一丸 となって安全で健康な職場環境の実現のためにそれぞれの役割を果たさなければなりません。
労働安全衛生総合研究所は、厚生労働省所管の独立行政法人労働者健康安全機構におかれた研究所であり、事業場における災害の予防並びに労働者の健康の保持増進、及び、職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を行うことにより、職場における労働者の安全及び健康の確保に資することを目的としています。
当研究所は、本目的の達成のため、理学、工学、医学、健康科学等様々の観点から総合的・専門的に労働災害防止のための調査研究を 行い、行政施策の立案・実施に科学技術的側面から貢献するとともに、事業者等において事業場の安全衛生の確保・向上が図られるよ う、調査研究等により得られた知見の積極的提供等に努めています。
2 基本方針及び研究分野
労働安全衛生総合研究所は、わが国で唯一の「産業安全及び労働衛生」分野における総合的研究機関として、「職場における労働者の 安全及び健康の確保」に資するため、以下の分野を重点として事業を展開しています。
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○ 産業社会の変化により生じる労働安全衛生の課題に関する研究
労働者の働き方等が変化することに伴い、職場のストレス、長時間労働及び交替制勤務等がメンタルヘルスなどの健康に及ぼす影響に ついて分析し、その予防に関する研究を実施しています。また、技術革新等により新たに産業現場で取り扱われる新材料や新技術に起因する 労働災害に対する予防的対応に関する研究を実施しています。
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○ 産業現場における危険・有害性に関する研究
労働災害の多発している作業、起因物質等に着目し、墜落、爆発、化学物質、物理的要因等現場における危険・有害性について分析 し、講ずべき対策に関する研究を実施しています。
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○ 職場のリスク評価とリスク管理に関する研究
職場における危険・有害因子へのばく露評価手法、リスク評価法等の確立や、リスク管理を効果的に実施していくための支援ツールの 開発に関する研究を実施しています。
3 労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究の推進
労働安全衛生の総合研究機関として有する専門的な知見を活かし、労働安全衛生施策の企画・立案に貢献するものに重点化して研究を推進しています。
また、中長期的な課題も含め、労働安全衛生施策の基礎となる研究を体系的・継続的に推進する必要があることから、行政課題を踏まえて、次に掲げる研究業務を実施しています。
ア)プロジェクト研究
以下の視点を踏まえて研究テーマの設定を行い、明確な到達目標を定めて重点的に研究資金及び研究要員を配置する研究。
- ① 労働安全衛生施策の企画・立案のエビデンスを収集する研究を体系的・継続的に推進していく視点
- ② 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進の視点
- ③ 過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進の視点
- ④ 就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進の視点
- ⑤ 疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進の視点
- ⑥ 化学物質等による健康障害防止対策の推進の視点
- ⑦ 社会科学系の他の研究機関との連携等による労働分野の総合的な研究を推進する視点
研究テーマに関しては、目指すべき成果について具体的かつ明確な目標を設定し、具体的なロードマップを作成・公表するとともに、厚生労働省の政策担当部門との意見交換を定期的に行い、労働者健康安全機構においてロードマップの進捗状況や政策への貢献度の検証を行っています。
イ)協働研究
機構内の複数の施設が有する機能等を連携させて行う研究。
研究テーマは、労働災害の減少及び被災労働者の社会復帰の促進に結びつくことを目的として、過労死等の防止等に関する研究、脊髄損傷等の予防及び生活支援策に関する研究、化学物質による健康障害の予防及びばく露評価に関する研究等、連携による相乗効果が期待されるものを設定しています。
ウ)基盤的研究
国内外における労働災害、職業性疾病及び産業活動等の動向を踏まえた基盤的な研究。
エ)行政要請研究
厚生労働省からの要請等に基づき、行政施策に必要な緊急性・重要性の高い課題に関する機動的な研究。