労働安全衛生総合研究所

安衛研ニュースNo. 139 (2020-08-07)


* 本メールは労働安全衛生総合研究所に配信を登録された方に配信しています。
** 次回配信予定:2020年9月4日(毎月第一金曜日発行)
------------------------------------------------------------------------
目次
------------------------------------------------------------------------
【139-1】お知らせ
  1. INDUSTRIAL HEALTH Vol.58 No.3 の発行・公開
  2. 「小売業、飲食店、社会福祉施設の労働災害を防止しよう!」の発行・ 公開

【139-2】コラム
 「作業環境中の測定のためのイオン移動度分析装置の開発」
  (環境計測研究グループ 任期付き研究員  高谷 一成)

【139-3】労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
  1. 「アスベスト(平成21~25年)」について
  2. 医療従事者の安全(平成30年開始研究)」について

▼▼

------------------------------------------------------------------------
【139-1】お知らせ
------------------------------------------------------------------------
1. INDUSTRIAL HEALTH Vol.58 No.3の発行・公開

 当研究所の英文学術誌であるINDUSTRIAL HEALTH Vol.58, No.3を発行・公開しました。
 巻頭言では、新型コロナ感染症の世界的大流行に伴う働き方や暮らし方の急変への対応と回復について、フィンランド・タンペレ大学のデ・ブルーム博士に解説していただきました。総説では、アスベストばく露者の大腸がん(中国)、非クラシック音楽家の筋骨格系障害(オーストラリア)がまとめられています。原著・短報として、強い心理的負荷と適切な対処(フィンランド)、癌または心血管疾患による休業後の禁煙率(日本、国立国際医療研究センター)、労働時間の測定(勤怠・申告)と心身の健康状態(日本、安衛研・過労死等防止調査研究センター)などに関する論文があります。また、現場報告として、非常勤産業医の活動とストレスチェックについて示されています(日本、京都工場保健会)。
 ご一読いただくとともに、皆さまの研究成果も積極的に投稿していただけますと幸いです。なお、本誌のインパクトファクターが更新され、昨年の1.319から1.471に持続的に上昇したこともお伝えいたします。

 ご質問などがございましたら、本誌事務局( ihjim@h.jniosh.johas.go.jp )までお気軽にお問い合わせください。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。
https://www.jniosh.johas.go.jp/en/indu_hel/2020.html


2. 「小売業、飲食店、社会福祉施設の労働災害を防止しよう!」の発行・公開

 小売業、飲食店、社会福祉施設の労働災害が減少しない中、精力的に労働災害防止に取り組み、労働災害を減少させた企業・法人があります。
 当パンフレットでは、これらの企業・法人を好事例として紹介します。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/houkoku/houkoku_2020_03.html


------------------------------------------------------------------------
【139-2】コラム
------------------------------------------------------------------------
「作業環境中の測定のためのイオン移動度分析装置の開発」
 (環境計測研究グループ 任期付き研究員  高谷 一成)

 労働者が働く作業環境では様々な化学物質が使用されており、中には有害な物質もあります。そのため労働者のばく露を許容濃度(ばく露しても健康に影響がないとされる濃度)以下に保つ必要があります。作業環境中の化学物質の定性・定量には、ガスクロマトグラフィーや質量分析計(GC/MS)等が使われますが、これらの方法は測定に時間がかかり、瞬時に汚染の実態がつかめません。この様に時々刻々と変動する現実の化学物質の濃度を即時的に検知できないため、重要な因子を見逃してしまう危険性があります。そこで私たちは、リアルタイムに作業環境中の化学物質を測定する分析装置の開発を行っています。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2020/139-column-1.html


------------------------------------------------------------------------
【139-3】労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
------------------------------------------------------------------------
1. 「アスベスト(平成21~25年)」について
 アスベスト(石綿)関連疾患の労災認定数は、近年、1,000件/年 前後となっていますが、その中には他の疾患との鑑別が困難なものや診断方法が特殊なものがあり、申請から労災認定までに時間がかかるケースも少なくありません。
 当機構では、こうした診断方法が難しいアスベスト関連疾患について明確かつ簡易な診断方法・指標を確立し、より適切な治療・予防法に役立てることを目的として、長年アスベスト関連疾患の診断等についての研究を行っています。
 例えば第2期(平成21~25年)の研究では、診断時にはすでに進行していることが多く、他のアスベスト関連疾患との鑑別も困難な胸膜中皮腫について、新たな診断基準の確立を目指しました。胸膜中皮腫症例を全国から集め、そこから胸水に関するデータを抽出した結果、胸水中のヒアルロン酸の値などが実用性の高い胸膜中皮腫の診断材料となることを明らかにしました。

 第2期のアスベスト研究については、こちらからご覧いただけます。
https://www.research.johas.go.jp/22_asbesto/

 アスベストについては現在も研究を行っております。平成30年度からは、明確な労災認定基準がない良性石綿胸水の症例を集め、新たな認定基準の確立を目指しているほか、石綿肺がん患者の肺内にみられ測定が困難な石綿繊維について、より迅速で適正な測定をするにはどうしたらよいかを研究しています。

 現在のアスベスト研究については、こちらからご覧いただけます。
https://www.research.johas.go.jp/asbesto2018/index.html

・第1期
 石綿肺がん、中皮腫及び良性石綿胸水の症例を全国から集め、職歴などの情報と併せて検討したほか、分子生物学の観点から石綿肺がん及び中皮腫の早期診断法の確立について研究しました。

・第2期
 胸膜中皮腫を中心としたアスベスト関連疾患の早期診断・予防法を確立するため、全国から症例を集めて化学療法を検討しました。また、石綿関連疾患の症例及び石綿健康管理手帳の交付を受けている方々の情報を集め、その実態を調査しました。

・第3期
 臨床的な観点から診断されることが多い石綿肺について病理学的観点から研究したほか、胸膜中皮腫例の初診時のCT画像所見を検討し、より適切な胸膜中皮腫の診断方法を探りました。また、前期に引き続き石綿健康管理手帳の交付を受けている方々の情報を集め、石綿関連疾患発症の現状を調査しました。

 第1期から第3期のアスベスト研究報告については、以下でご覧いただけます。
https://www.research.johas.go.jp/booklet/report.html


2. 「医療従事者の安全(平成30年開始研究)」について
 抗がん剤は、がん細胞に対して効果を発現する一方、その作用機序から、正常な細胞にも少なからぬ影響をおよぼすものが多くあります。抗がん剤の調製に伴うばく露によって医療従事者が健康被害を受けるリスク(職業性ばく露)については、既に国内外から多数の報告がなされています。近年、我が国でも抗がん剤の取扱いに関する各種ガイドラインが策定され、各医療機関において手順書が策定・運用されているところですが、その妥当性の評価等についてはエビデンスがなく、未だ十分とは言えません。
 当機構では、国内の医療従事者の職業性ばく露の根絶を目指すべく、各施設における抗がん剤の調製工程ごとに飛散の原因とメカニズムを究明し、その結果を職業性ばく露の標準防止手順書として広く発信していくことを目的として、平成30年7月から研究を開始しました。

 本研究の詳細については、「労災疾病等医学研究普及サイト」をご覧ください。
https://www.research.johas.go.jp/anzen2018/index.html


▼▼

------------------------------------------------------------------------
【ご注意】

* 配信停止をご希望の方は、こちらまでご返信ください。
mailmag@s.jniosh.johas.go.jp まで

* なお、本メールは送信専用のアドレスから発信しております。このメールに
ご返信いただきましても対応いたしかねますので、あらかじめご了承ください。
------------------------------------------------------------------------


刊行物・報告書等 研究成果一覧