労働安全衛生総合研究所

研究報告 TN-72 の抄録

導電性繊維を用いた自己放電式除電器の除電効果と安全性

TN-72-1
田畠泰幸
まえがき
 生産現場で発生する静電気は各種の災害,障害をひき起しており,その発生頻度は装置の大型化,高速化にともなって,より高くなって来ている。特に高分子フィルム,紙,化学繊維,織布等の製造,加工工程においては,多量の静電気が発生し,作業者に電撃等の不快感を与えるとか,巻き付き,不揃い,汚れ等の生産障害をもたらしている。また,可燃性ガス,溶剤,粉体を使用する工程においては,静電気の放電が着火源になって,爆発,火災事故等も発生している。
 これらの静電気災,障害を防止するには,静電気を安全に除去することであり,現在では自己放電式,電圧印加式除電器等が使用されている。このうち,自己放電式除電器については,その効果と安全性を詳細に検討した資料がないため,あまり普及していないのが現状である。
 しかしながら,自己放電式除電器は高圧電源を付属していないため,電圧印加式除電器のように高圧電源からの異常放電は全く発生することがなく,それだけ安全性は高いと考えられる。また取り扱いも後者に比較して非常に簡便である。これより,被除電対象によっては,これらの特長を生かして多大の除電効果を生むことが予想される。したがって,ここでは自己放電式除電器に関する基礎研究と広範囲な現地実験を行ない,その除電性能と安全性について検討した。本報告書はその結果についてまとめたものである。


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