労働安全衛生総合研究所

安衛研ニュースNo. 110 (2018-01-12)


* 本メールは労働安全衛生総合研究所に配信を登録された方に配信しています。
** 次回配信予定:2018年2月2日(毎月第一金曜日発行)

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目次
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【110-1】新年のご挨拶
   (労働安全衛生総合研究所 所長 豊澤康男)

【110-2】お知らせ
 1.Industrial Health Vol.55 No.6 の発行・公開
 2.労働安全衛生総合研究所 一般公開のお知らせ(第一報)
 3. APSS2017開催報告
 4. 労災疾病等医学研究普及サイトのご案内–「職業性皮膚疾患NAVI」について
 5. 労災疾病等医学研究普及サイトのご案内–「メンタルヘルス」について

【110-3】コラム
 1. 土砂崩壊による労働災害の現状と対策の変遷
  (建設安全研究グループ 任期付き研究員 平岡 伸隆)

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【110-1】新年のご挨拶
  (労働安全衛生総合研究所 所長 豊澤康男)
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 明けましておめでとうございます。

 平成27年に労働災害による死亡災害の発生件数が統計を取り始めて以来、初めて1,000人を下回り、平成28年は災害数が更に減少し924人となりました。これまでの各方面の継続的な取り組みが結実したものと存じます。しかしながら、平成29年の死亡災害数は、確定値は出ていませんが、若干増加傾向にあると聞いております。

 このような労働災害をなくし、人々が健康で安全に働けるように行政機関等が様々な施策を講じているわけですが、当研究所は調査研究や災害調査を通じて、これら施策を支援するために科学的根拠を提供することを最大の責務として取り組んでいます。

 昨年は、クレーンの転倒災害、化学工場での火災による災害、トンネルの落盤災害、土砂崩壊災害などの災害調査を行政機関との連携のもと実施しました。また、化学物質や粉じんによる職業性疾病などに関する調査を積極的に実施しました。更に、過労死等調査研究センターにおいて過労死等の調査研究を進めるほか、社会福祉施設、小売業等の第3次産業、陸上貨物運送業での労働安全衛生対策等についても重要課題として取り組んでいるところです。

 労働安全衛生に関して解決しなければならない課題は山積している状態が続いており、当研究所が担う調査研究による「期待される成果」は拡大かつ深化している現状にあります。

 また、当研究所は、平成28年4月に独立行政法人労働者健康福祉機構と統合し、独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所としてスタートしています。当研究所が担う労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と、労災病院等の臨床研究機能との相乗効果を発揮させることで、労働者の健康と安全の確保による予防と治療・職場復帰支援を総合的に展開することが求められており、労災病院等と連携し、過労死等関連疾患、せき損等といった5分野を対象に重点研究として実施し、有益な成果を挙げつつあります。

 気持ちを新たに、本年も労働災害の減少に貢献すべく職員一同職務に励む所存です。
 本年もよろしくお願い申し上げます。


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【110-2】お知らせ
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1. INDUSTRIAL HEALTH Vol.55, No.6の発行・公開
 本号は「労働安全衛生保護具(Personal Protective Equipment)の新たな展開」と題する特集号になります。澤田晋一編集委員を中心に4名のゲストエディターがのべ12編の論文をとりまとめました。総説論文ではサーマルマネキンを用いた着衣潜熱抵抗の測定、化学防護服の国際基準を取り上げています。原著論文等は暑熱、寒冷、突き刺し、農薬、感染、振動、電離放射線等に対する防護技術の開発や評価について、各領域を代表する国内外の専門家が検証しています。
 ご一読いただくとともに、皆さまの研究成果も積極的に投稿していただけますと幸いです。
 ご質問などがございましたら、本誌事務局( ihjim@h.jniosh.johas.go.jp )までお気軽にお問い合わせください。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
https://www.jniosh.johas.go.jp/en/indu_hel/2017.html


2. 「労働安全衛生総合研究所 一般公開」のお知らせ(第一報)
労働安全衛生総合研究所では、研究施設の一般公開(無料)を次のとおり行います。
・働く人の安全に関する研究施設公開(清瀬地区):
  平成30年4月18日(水)13:00–17:00
・働く人の健康に関する研究施設公開(登戸地区):
  平成30年4月22日(日)13:30–17:00
多数の方々のおいでをお待ちしております。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
http://www.jniosh.johas.go.jp/announce/2018/open2018/index.html


3. APSS2017開催報告
 APSS (Asia Pacific Symposium on Safety) は、1999年に韓国慶州において開催された日韓産業安全研究集会を契機として企画され、アジアおよび環太平洋諸国にエリアを拡大し、2001年に第1回大会が京都で開催されました。以後、2年ごとに各国の持ち回りで開催されており、日本においては2009年(大阪)に引き続き8年ぶり3回目の開催となりました。


↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
http://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2018/110-column-2.html


4. 労災疾病等医学研究普及サイトのご案内
–「職業性皮膚疾患NAVI」について」
 当機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題など、時宜に応じた研究に取り組んでいます。「労災疾病等医学研究普及サイト」では、現在実施している9テーマの研究紹介に加え、これまで実施してきた研究成果についても掲載しています。また、労働環境下で起こる健康障害や職業と疾病との関係性調査等のデータベース構築も行っております。その中から、今回はデータベース「職業性皮膚疾患NAVI」についてご紹介します。
 現在、様々な業種において皮膚疾患を引き起こしやすい化学物質が用いられていますが、原因物質が特定されにくい、あるいは就業制限をするほど自覚症状が強くない等の理由で十分な対策が取られず皮膚疾患が放置されているケースも見られます。その一方、特定化学物質障害予防規則や労働安全衛生規則によって皮膚障害防止対策の重要性が示されている物質や、リスク低減対策として有害性情報を早期に収集することが必須とされる物質もあります。このような背景から、当機構では、職業性皮膚疾患の全国的発生状況をモニターし産業化学物質に関する皮膚への影響を効率的に集積するデータベースが必要と考え「職業性皮膚疾患NAVI」を運用しています。「職業性皮膚疾患NAVI」は、産業化学物質による皮膚疾患を診療する機会の多い医師が事例報告入力フォーマットに職業性皮膚疾患の発生状況を入力することで、化学物質による皮膚疾患の全国的な発生状況が迅速に把握できる参加型のシステムです。(会員登録は、「職業性皮膚疾患NAVI」ページより行い、個人情報は秘匿化されます。)
会員登録:https://www.research12.jp/hifunaviuser/reg.php
 軽症例や因果関係が乏しい職業性皮膚疾患の症状、原因、対応等については、学会発表がしづらく、参考になるデータが蓄積されにくいのが実情ですが、当システムへのデータ蓄積と会員相互の情報共有により、信頼度の高い職業性皮膚疾患事例の早期把握が可能となります。職業性皮膚疾患の診療に携わる医師の情報源としても御活用いただけるシステムです。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
http://www.research.johas.go.jp/hifunavi/about.html

5. 労災疾病等医学研究普及サイトのご案内–「メンタルヘルス」について
 当機構では労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題など、時宜に応じた研究に取り組んでいます。「労災疾病等医学研究普及サイト」では、現在実施している研究の紹介に加え、これまで実施してきた研究成果についても掲載していますが、今回はその中から「メンタルヘルス」についてご紹介します。
 メンタル不調の一次予防の観点から、脳血流変化と相関するHPA系ホルモンの動態と、うつ、疲労、QOL等との相関関係について検証しました。
 検証の結果、うつ重症度(構造化面接 SIGH-D)は、左下前頭回、背外側前頭前野を主体とした血流低下と相関していることなどが確認されました。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
研究概要:http://www.research.johas.go.jp/22_mental/thema02_02.html
報告書:http://www.research.johas.go.jp/booklet/report.html


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【110-3】コラム
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1. 土砂崩壊による労働災害の現状と対策の変遷
  (建設安全研究グループ 任期付き研究員 平岡 伸隆)
 日本は国土の7割を山地が占めることから、必然的に生活空間は山間部にも展開されていき、山を切り開くための土地造成工事、道路工事、トンネル工事、砂防工事等の土砂掘削を伴った土木工事が必要となります。また、都市部では、上下水道工事、河川工事、建築工事等が実施され、地盤の掘削工事は私たちの生活基盤を形成する上で無くてならない工事といえます。こうした土砂掘削を伴う工事において、残念ながら毎年多くの労働者が死傷されている現状にあります。建設業労働災害防止協会から発刊されている建設業安全衛生年鑑によれば、土砂崩壊・落盤による労働災害の死亡者数は、1960年代は200–300名、1970年代は100–200名前後あり、ここから比べると減少しているものの、近年でも毎年約10–20名が被災しています。

↓↓↓ 以下のリンク先で内容をご覧ください。 ↓↓↓
http://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2018/110-column-1.html


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