マレーシアにおける第三国研修「ラオス・ミャンマー・ベトナム向け労働安全衛生管理」参加報告
マレーシアのNIOSH(国立労働安全衛生研究所)において、2014年9月9日から9月26日まで、ASEAN諸国の労働安全衛生行政官を対象とした第三国研修「ラオス・ミャンマー・ベトナム向け労働安全衛生管理」が実施されました。この研修プログラムに、9月8日(月)・月12日(金)までの約一週間参加し、「建設現場における労働安全衛生」について講義を行いました。日本からは厚生労働省安全衛生部計画課の釜石調査官も参加し、日本の建設業に関する労働安全衛生法令の講義を行いました。
本研修は、マレーシア人的資源省労働安全衛生局(DOSH)が主催し、独立行政法人国際協力機構(JICA)マレーシア事務所がDOSHに協力して昨年から実施しているものです。JICAは、2000年から2005年にかけてマレーシアNIOSHの機能強化のための技術協力を行っており、私ども労働安全衛生総合研究所でも専門家の派遣などで協力してきました。 なぜ、「第三国」というかですが、日本が協力を実施した国がその協力により得たノウハウ、経験を活かして、日本の支援を得つつ「第三」の国々である近隣諸国に対して研修を行うものであるためです。今回はラオスから5名(労働担当省所属)、ミャンマーから11名(4名は労働担当省、1名は産業省、6名は建設省所属)の参加者がありました(残念ながらベトナムからは今回不参加でした)。
マレーシアのNIOSH
本研修で実施した講義の内容は、日本の建設現場における労働安全衛生管理について、行政、関係団体、民間企業の取組の好事例を紹介するというものです。具体的には、手すり先行工法等のガイドラインの整備による労働災害の防止、安全衛生意識の向上のための安全施工サイクルの実施、現場での「見える」安全活動コンクールの優良事例など、それぞれ写真やビデオを交えながら紹介しました。ビジュアルな講義で大変わかりやすかったと、概ね好評でありました。
また、労働安全衛生に関するラオス、ミャンマーの国別報告や、マレーシアの現状報告を聴講しました。これに関し、労働者の死傷病報告の蓄積と分析による労働災害防止策の確立、事業者と労働者が一体となった安全衛生意識の向上、それをサポートする行政の役割の重要性等について討議し、大変有意義な情報交換をすることができました。
さらに、本研修プログラムでは、現場視察や労働安全衛生活動の実習等が組み込まれていましたが、その中でKYT(危険予知訓練)の実習に参加しました。それまでは、国別報告等の講義の聴講が続き、研修生にやや緊張感が見られ硬い感じがしていましたが、KYTの実習では出身国の異なる研修生同士が、お互い協力し、打ち解けあっていく姿がうかがえました。研修生が、輪になってZero Accident OK(ゼロ災で行こうヨシ)と叫ぶ姿は真剣そのものであり、それぞれの国に戻ってからもKYTなどの安全衛生活動の定着に努めていただきたいと願っています。
KYT実習後の記念撮影(全員でZero Accident OK)
今回の研修施設のマレーシアNIOSHは私ども労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)と同様に、労働安全衛生に関する調査研究も実施していますが、労働衛生関連の研究施設が非常に整っていました。しかし、労働安全に関する研究施設はほとんどなく、安全に関する研究があまり行われていないとのことでした。
研修期間中には、DOSHのモフタル・ビン・ムスリ(Ir. Mohtar bin Musri)局長より、マレーシアNIOSHと私ども労働安全衛生総合研究所の協力を要請されるとともに、マレーシアNIOSHからも労働衛生に加え労働安全についても協力してほしいとの依頼がありました。これを受け、今回築いたマレーシアNIOSHとの関係を、今後も推進していきたいと思います。
NIOSHの研究施設(ガスクロマトグラフィー)
最後になりますが、今回の研修は大変短い期間でありましたが、マレーシア、ラオス、ミャンマー等、ASEAN諸国の労働安全衛生について考える貴重な機会となりました。また、マレーシアにおいては、1998年の完成時に世界一の高さを誇ったペトロナスツインタワーなど、最先端の技術でビルや橋梁がいくつも建設されており、今後の建設業の労働安全衛生を考えるうえで大変参考になる場所であると感じました。今回参加できたことに関し、JICA、DOSHおよびNIOSHの関係者に感謝するとともに、今後も日本とマレーシアの協力で第三国研修が実施されることを期待いたします。
ペトロナスツインタワー(クアラ・ルンプール中心部)
本研修は、マレーシア人的資源省労働安全衛生局(DOSH)が主催し、独立行政法人国際協力機構(JICA)マレーシア事務所がDOSHに協力して昨年から実施しているものです。JICAは、2000年から2005年にかけてマレーシアNIOSHの機能強化のための技術協力を行っており、私ども労働安全衛生総合研究所でも専門家の派遣などで協力してきました。 なぜ、「第三国」というかですが、日本が協力を実施した国がその協力により得たノウハウ、経験を活かして、日本の支援を得つつ「第三」の国々である近隣諸国に対して研修を行うものであるためです。今回はラオスから5名(労働担当省所属)、ミャンマーから11名(4名は労働担当省、1名は産業省、6名は建設省所属)の参加者がありました(残念ながらベトナムからは今回不参加でした)。
マレーシアのNIOSH
本研修で実施した講義の内容は、日本の建設現場における労働安全衛生管理について、行政、関係団体、民間企業の取組の好事例を紹介するというものです。具体的には、手すり先行工法等のガイドラインの整備による労働災害の防止、安全衛生意識の向上のための安全施工サイクルの実施、現場での「見える」安全活動コンクールの優良事例など、それぞれ写真やビデオを交えながら紹介しました。ビジュアルな講義で大変わかりやすかったと、概ね好評でありました。
また、労働安全衛生に関するラオス、ミャンマーの国別報告や、マレーシアの現状報告を聴講しました。これに関し、労働者の死傷病報告の蓄積と分析による労働災害防止策の確立、事業者と労働者が一体となった安全衛生意識の向上、それをサポートする行政の役割の重要性等について討議し、大変有意義な情報交換をすることができました。
さらに、本研修プログラムでは、現場視察や労働安全衛生活動の実習等が組み込まれていましたが、その中でKYT(危険予知訓練)の実習に参加しました。それまでは、国別報告等の講義の聴講が続き、研修生にやや緊張感が見られ硬い感じがしていましたが、KYTの実習では出身国の異なる研修生同士が、お互い協力し、打ち解けあっていく姿がうかがえました。研修生が、輪になってZero Accident OK(ゼロ災で行こうヨシ)と叫ぶ姿は真剣そのものであり、それぞれの国に戻ってからもKYTなどの安全衛生活動の定着に努めていただきたいと願っています。
KYT実習後の記念撮影(全員でZero Accident OK)
今回の研修施設のマレーシアNIOSHは私ども労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)と同様に、労働安全衛生に関する調査研究も実施していますが、労働衛生関連の研究施設が非常に整っていました。しかし、労働安全に関する研究施設はほとんどなく、安全に関する研究があまり行われていないとのことでした。
研修期間中には、DOSHのモフタル・ビン・ムスリ(Ir. Mohtar bin Musri)局長より、マレーシアNIOSHと私ども労働安全衛生総合研究所の協力を要請されるとともに、マレーシアNIOSHからも労働衛生に加え労働安全についても協力してほしいとの依頼がありました。これを受け、今回築いたマレーシアNIOSHとの関係を、今後も推進していきたいと思います。
NIOSHの研究施設(ガスクロマトグラフィー)
最後になりますが、今回の研修は大変短い期間でありましたが、マレーシア、ラオス、ミャンマー等、ASEAN諸国の労働安全衛生について考える貴重な機会となりました。また、マレーシアにおいては、1998年の完成時に世界一の高さを誇ったペトロナスツインタワーなど、最先端の技術でビルや橋梁がいくつも建設されており、今後の建設業の労働安全衛生を考えるうえで大変参考になる場所であると感じました。今回参加できたことに関し、JICA、DOSHおよびNIOSHの関係者に感謝するとともに、今後も日本とマレーシアの協力で第三国研修が実施されることを期待いたします。
ペトロナスツインタワー(クアラ・ルンプール中心部)
(建設安全研究グループ 部長代理 大幢勝利)