労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-No.38 の抄録

爆発圧力放散設備技術指針(改訂版)

TR-No.38

 可燃性のガス蒸気や粉じんによる爆発災害の爆発防護対策の一つとして、爆発の際に発生する圧力を安全に外気中に放出させて装置の破壊を防ぐ爆発圧力放散設備がある。爆発圧力放散設備について、わが国での普及を図るため、産業安全研究所では技術指針NIIS-TR-No.34(1998)として発行し、国内では唯一の指針として関係方面に活用されてきた。

 この技術指針は、主として全米防火協会(National Fire Protection Association)のNFPA 68(1994)やドイツ技術者協会VDI 3673(1992)を参考として作成されたものである。その後、NFPAにおいては1998年、2002年と新たな版が発行され、VDIのほうも 2002年版が発行され、国内外の最近の動向、多方面の産業界の意見を取り入れた技術指針の改訂版の作成が急務となっていた。今回、技術指針の改訂原案の作成と審議を(社)日本粉体工業技術協会に委託し、成案を得たため、それをもとに当研究所の技術指針として平成17年6月30日に発行した。本技術指針は、爆発防護の基本的な考え方に始まり、爆発圧力放散設備の設計方法、設置・使用上の留意点、保守・点検の手順などについて示している。主な改訂事項は、相当径の定義を見直したこと、装置内容積について適用範囲を拡大したこと、放散面積の算定は計算式に従い、ノモグラフ(計算図表)はその計算結果を確認するために用いるようにしたこと、装置長さと内径の比に応じ、放散面積の計算法を細分化したこと、局所的な粉じん爆発の場合について、放散面積の低減という考え方を加えたこと、放散用ダクトの影響を見直したこと、単位をSI単位系に変更したこと、などである。新しい知見が技術指針に盛り込まれ、より緻(ち)密な爆発放散設備の設計が可能となった。


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