労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-91 の抄録

静電気用品構造基準 –交流電圧印加式除電器の防爆構造、性能及び試験方法–

TR-91-1
田畠泰幸,児玉勉

 近年の製造技術の高度化に伴い,静電気が原因となって発生する爆発,火災も広範な工程に及び,様相も異にしている。可燃性のインキを使用するグラビア印刷工程,あるいは紙,フィルムのような基材に,可燃性溶剤を含んだ粘着剤や磁性材料などを塗布する塗工工程においても,その高速化処理に伴う静電気帯電の増大から,静電気放電が着火源となって発生する火災が頻発し,大きな問題になっている。

 除電器はこれらの静電気災害を防止するために不可欠な装置であり,除電性能が高く,かつ,可燃性ガス・蒸気が存在する危険場所においても安全に使用できる防爆構造の除電器の普及が急がれている。

 そこで,当研究所では一般に広く使用されている交流電圧印加式除電器の防爆構造に関する技術指針を制定するため,原案作成を社団法人安全技術協会に委託していたところ,このたび広く除電器メーカー,ユーザー,専門家により構成された静電気研究委員会の審議を経てその答申を得た。

 本指針は上記の答申を受けて当研究所においてさらに審議を重ね,発表するものであり,本指針の活用により,優れた除電器が開発・使用され,静電気が原因となって発生する産業災害が少しでも多く防止されることを切望する。

 最後に,本指針の原案作成に多大なご協力を頂戴した社団法人産業安全技術協会,並びに委員の皆様に対し,深く謝意を表します。

平成3年7月20日 労働省産業安全研究所  所長  木下 鈞一 


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