労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-1966 の抄録

エチレンの爆発限界と温度および圧力による影響

TR-1966-1

緒言

 最近の化学工程においては、可燃性ガス、蒸気—空気酸素系を高温、高圧下で使用する機会が増加している、たとえば Höchst-Wacher法によるアセトアルデヒドの製造など。このような場合、その系の組成が爆発範囲内にあるかどうかは、工程の安全を期するための重要な鍵となるわけである。

 ところで、可燃性ガス、蒸気の爆発限界については、常温、常圧におけるものは文献等により知られているが、温変および圧力が変化した特異条件下における場合は、爆発唄界が変化することはわかっていても、その測定例は少ない。

 筆者はこのような特異条件下における爆発限界の実際について、石炭ガス、ブタン、油ガス、メタン等について測定を行なって、操業上の安全についての資料を提供してぎた 7)であるが、 とくに最近、石油化学工業の根幹をなすエチレン系の製品の製造において、高温高圧下でエチレン—空気系を扱うプロセスが開発され、安全操業上、爆発限界の変化の動向が問題となってきた。そこで可燃性ガス、蒸気の爆発特性の研究の一環として、エチレン—空気系の高温、高圧下における爆発限界を測定したので報告する

化学課 内藤 道夫


活線近接作業における活線と足場位置との離隔距離

TR-1966-2

緒言

 高圧2回線または高低圧線が架線されている電柱において、上部の高圧線は活線のままで、その直下の停電している高圧線または低圧線についての作業を行なうような活線近接作業においては、作業者が頭上の高圧活線に上肢などが接触して感電する危険がある。

 柱上作業においては、一般に作業者は足場釘に位置し、または昇柱器を用いて任意の位置に足場を定めて、安全帯を用いた姿勢で作業を行ない、その作業は主として上肢の運動を伴う手作業である。作業者が上記の姿勢で、上肢を頭上に伸した場合に高圧線に接触するか否かは、作業用足場位置から高圧線までの距離、安全帯を用いたときの電柱表面から腹部表面までの距離、作業者の身長、腕長などが関係する。そこで、このような活線近接作業において高圧線に接触するおそれのない限界の作業用足場位置と高圧線との必要離隔距離を、前記の各条件との関連において求めるための資料をうる目的で調査ならびに若干の測定実験を行なった。

電気課 寺沢 正義


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