労働安全衛生総合研究所

技術資料 TD-No.4 の抄録

ロールボックスパレット起因災害防止に関する手引き

TD-No.4
大西明宏,高木元也

 ロールボックスパレットは,物流の効率化や作業者の負担軽減などに貢献する人力荷役機器であり,陸上貨物運送事業,卸・小売業や製造業等において多く使用されている。しかしながら,その安全な使用方法については,各製品の取扱説明書に記載された内容以上に詳しく定められたものがほとんどなく,ロールボックスパレットに起因する労働災害(以下,ロールボックスパレット起因災害とする。)が前述した業種では多く発生している。

 このようなことから,ロールボックスパレットを取扱う関係者が,安全に作業するための解説書が必要と考え,本手引きを作成することになった。作成に当たっては,ロールボックスパレット起因災害の防止に資する取扱いを検討するための製造者,使用者,中立から構成される有識者委員会を設置した。本委員会では実際の作業全般を網羅した内容とするため,従来の知見を整理すると共に,新たな情報を追加した。また,できる限り平易な表現を用い,理解のしやすさにも配慮した。本手引きの構成を以下に示す。

  1. ロールボックスパレットとは
  2. ロールボックスパレットに起因する労働災害の分析
  3. ロールボックスパレットのタイプおよび付属品
  4. キャスター
  5. 作業者の服装,装備
  6. 基本的な操作方法
  7. テールゲートリフターでの取扱い
  8. ロールボックスパレットの転倒
  9. 安全に作業を行うための環境および設備
  10. 安全に作業するためのロールボックスパレットの要件
  11. 類似の人力荷役機器の活用
  12. 点検

 本手引きの特徴として,従来の考え方よりも踏み込んだ知見についても言及したことが挙げられる。一例として,6. 基本的な操作方法 では,従来の適切なロールボックスパレットの操作方法は「押し」のみに限られていたが,「引き」や「よこ押し」も使われている実態を鑑み,それぞれのメリット,デメリット等を盛り込むことで,これまでよりも多くの事業場に適用できるように心掛けた。

 今後の課題としては,本手引きが多くの事業場で活用され,ロールボックスパレット起因災害の減少に貢献するのかの検証であると考えている。


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