労働安全衛生総合研究所

安全資料 SD-No.27 の抄録

食品機械を対象とした労働災害分析

SD-No.27
梅崎重夫,濱島京子,池田博康

 食品機械による労働災害は約2,000件/年(平成19年,休業4日以上)と多発しているが、その実態はほとんど解明されていない。そこで、死亡災害と休業4日以上の災害を対象に詳細分析を行なった。

 その結果、食品機械による休業災害は、食料品製造業(66.2%)だけでなくサービス業(小売業・飲食店業など,31.3%)でも多くの発生が認められた。また、死亡災害と休業4日以上の両方を対象に可動部ごとのリスクを推定したところ、

  1. 切断・切削機構(スライサー・バンドソーなど)
  2. 混合・混練・攪拌・破砕・粉砕機構(ミンチ・ミキサを含む)
  3. 圧延・ロール機構
  4. 供給・送り・圧送・コンベヤ機構
  5. 成形・型抜き・圧縮機構
  6. ベルト・プーリー・歯車・ギヤ・チェーン

 等の順にリスクが高く、これらだけで177.9×103日/年と全労働損失日数 223.6×103日/年の約8割を占めていた。

 今後は、リスクが圧倒的に高い切断・切削機構及び重篤度が高く発生件数も比較的多い混合・混練・攪拌・破砕・粉砕機構(ミンチ・ミキサを含む)を対象に、安全性、食品衛生及び経済性を総合的に考慮した適切な保護方策の提案が必要である。


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