労働安全衛生総合研究所

安全資料 SD-88 の抄録

化学物質の熱危険性の解析と予測

SD-88
森崎繁,安藤隆之

まえがき

 最近の先端技術の進歩に伴い,多種多様な化学物質が各方面で製造され,また取扱われるようになってきている。新しい医薬品原料,試薬,機能性高分子,複合材料,電磁気材料などがそれらの代表的なものであり,その他半導体デバイス,ファインセラミックスなどの製造においても各種の新規の化学物質が取扱われている。このような傾向は,超電導材料の研究,開発に見られるように,今後ますます複雑多岐にわたって発展していくものと思われる。

このような化学物質は,それらの合成や取扱いの技術については各種の文献によく記載されているが,発火や分解の危険性,暴走反応の危険性,発がん性などの危険性については,公表されているものが少なく,新規化学物質を取扱う場合や製造条件を変更するような場合は,安全衛生問題に十分な注意を払わないと思いがけない事故が発生することがある。

このように化学物質の危険性を考える場合には,発火,分解,暴走反応といった化学的エネルギーが放出された時の危険性と,人体に取り込まれた際の健康障害の二点から検討する必要があるが,本報告書では,化学物質の分解や反応が生じた時のエネルギー危険について,それらの危険性の解析,評価の仕方,予測技術などについて検討する。


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