労働安全衛生総合研究所

安全資料 SD-87 の抄録

引火温度と爆発限界の関係線図(第2集)

SD-87
柳生昭三

緒言

 密閉容器に入っている可燃性液体の液面上空間のように,一般に液と蒸気の共有状態における気相系の爆発危険性を知るには,蒸気の爆発限界を組成で示しても直接には役に立たず,ここに下部引火点及び上部引火点と呼ぶ二つの温度が重要である。しかし,この特性値は従来から実測値も,また蒸気の爆発限界からの換算値も,系統的に発表された例がほとんどないため,可燃性液体の取扱い上極めて不便であった。

著者はかねてからその重要性を感じ,多くの物質についてこの数値の実測による検討を重ねてきた。本報ではその成果を,蒸気の爆発危険性状が一べつして理解できるような蒸気圧線に基づく引火温度と爆発限界の関係線図という形態で,工業的に重要な物質について紹介することとした。さきの計1集1)の50物質につぐ第2集として,ここに75物質を掲載した。

なお,下部引火点及び上部引火点の定義とその重要性,それらの測定方法などの詳細は第1集に記述してあるので参照されたい。したがって,ここでは測定方法及び関係線図の作成要領を簡単に述べるにとどめた。


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