労働安全衛生総合研究所

安全資料 SD-58 の抄録

電撃危険性と危険限界

SD-70
田中隆二,市川健二

 近時、造船工場の新造船工事あるいは修紐船工事に際し、船内狭少区画内で危険ガスによる爆発、火災、中毒などのガス災害の発生が日立っている。
 このため、この種の危険防止の手段の一つとしてのガス検定の重要性が増大し、関係方面からガス検定作業基掌の作成が要望されていた。造船安全技術会議の爆発防止対策専門委員会においては、この要望にこたえ、先づガス検定の比重の最も大きいタンカーの修繕工事の際のガス検定の作業指針を作成することとし、ガス検定専門部会において別記諸氏の御協力を得て審議を行った結果、本指針の成案を得た。本指針案は第4回造船安全技術会議に報告されたが、今回これを印刷の上業界全般に紹介するもので、これが造船工場におけるガス災害防止の一助になれば幸である。
 なお、本指針はガス検定員が職務上必要な知識を身につける際の手引ぎ書として作られたものであるが、本指針の活用にあたっては、造船所当局においても特に、次の点に配慮されることが望ましい。

  1. 本指針を参考としガス検定作業の規定を定めると共に、ガス検定員の地位と責任を明確にすること、
  2. ガス検定の装備を整備し、また検定員の技術向上のための教育を実施すること
  3. 修繕工事における危険場所の作業制限規定および清掃、換気、防火などの諸規定を整備し、これとガス検定の結果とを直結させ、迅速に危険防止の対策がとれるようにすること


昭和33年11月
労働省産業安全研究所長
高梨 湛


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