労働安全衛生総合研究所

安全資料 SD-1957-1 の抄録

電撃危険性と危険限界

SD-1957
田中隆二,市川健二

はしがき

 一般に安全作業の遂行には物的条件の整備はいうまでもなく、人的条件の欠陥を是正することが必要である。この後者については従来個々の作業者の生理的、心理的素質が注目され、種々の調査研究がなされ、相当な成果を挙げてぎた。今後共この種の研究が続けて行われることは、安全問題の解決に有力な資料となることはいうまでもない。しかし最近の調査研究によって、 この生得的な個人の素質の他に、作業遂行に当っての知識と技術および態度がより重要であり、また一般的基本的のものであるとする考え方が災害予防の面から見直され主張されるようになった。つまり生得的な素質の上に加えられた後天的な糧の重要性に目を付けたからに他ならない。そしてこれらの方面の市柄は、従来職業指導の一面として或る程度は採り上げられてきたが、まだ安全の面から検討される機会はすくなかったようである。
 以上のような必要性が認識されながらも、なお且実際の仕事が行われることのすくないこの安全のための知識と技能および態度の三要素のうち、知識と態度を検討することにしたわけである。従って、ここに紹介する調査は安全における作業者の知識と態度がどうあるべきか、主として企業内教育的要素としての意味およびその方法、企業内人間関係とどう関係あるか等については全て今後の間題として譲り、当面現在の作業者の状態はどんなものであるかを知り、上述の諸間題解決のための手掛りをえることを目的としたものである。


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