労働安全衛生総合研究所

特別研究報告 SRR-80-1 の抄録

トンネル建設工事におけるガス爆発等に対する総合安全対策

トンネル建設工事における通風換気システムの改善

SRR-80-1-2
佐藤吉信,粂川壮一,杉本旭,深谷潔
 トンネル内にメタンガスが湧出する場合における,切羽付近の換気によるガスの稀釈効果を,模型実験によって調べた。
 各換気条件に対する切羽近傍のガス濃度分布が求められ メタンガス爆発限界内濃度区域が把握された。
 相似則確認実験により,相似の成立が認められた。
 実験結果と現場調査による資料から,換気システムに対する,いくつかの検討が為されている。(図56,表1,参10)

トンネル建設工事におけるガス湧出に対する警報システムの開発に関する研究

SRR-80-1-3
林年宏,松井英憲,内藤道夫
 メタンの湧出するおそれのあるトンネル工事においては,トンネル内の通風換気により湧出メタンを希釈・排出するとともに,メタンの濃度分布を常時監視し危険な濃度となったときに直ちに必要な措置を講ずることのできるガス警報システムの活用が不可欠である。本報告においては,まずガス警報器の応答特性を中心にその性能・構造及びトンネル建設工事への適応性について検討した。次に,実規模に近い模擬トンネルを用いてトンネル内に湧出したメタンがどのような濃度分布を示すかを,典型的な通風換気法のいくつかについて実験し,この結果に基いてトンネル内の警報器検知部の配置はいかにあるべきかを論じ,検知部の配置はそれぞれのトンネルに応じて定められるべきであること及びその際に参考となる考え方を示した。(図25,表5)

施工中のトンネルにおける火災防止対策

SRR-80-1-4
前郁夫,花安繁郎,鈴木芳美,堀井宣幸
 本報告は,最近その発生危険性が増大していると考えられ,また実際にいくつかの大規模な災害が発生した,施工中のトンネルにおける火災事故に関する防災対策を検討したものである。まず,火災防止対策全体を,火災発生防止対策,延焼防止・初期消火・防排煙対策,および避難・救出対策の3つの対策によって構成したのち,全体を構成する各対策の問題点について検討を行った。(図3,表1,参15))

ガス滞留地層の地質学的特性等にに関する研究

SRR-80-1-5
前郁夫,花安繁郎,鈴木芳美,堀井宣幸
 多くのトンネル建設工事で,可燃性天然ガスの湧出現象に遭遇する例が増加している。本研究では,ガス湧出の危険のある多数のトンネル建設工事について現地調査を中心とした状況調査を行なった。さらに,ガス湧出地層の地質学的特性並びにガス湧出現象の事前捕促の手段等について考察・検討を加えた。(図6,表1,参12)

トンネル建設工事用防爆電気機器の開発

SRR-80-1-6
坂主勝弘
 メタンや油田ガスが湧出するトンネル建設工事現場で使用する防爆形電気機器の開発のために研究を行なった。
 研究はトンネル建設工事現場の作業方式,環境条件及び使用電気機器の種類などの実態調査を行ない,この結果を参考にして,耐圧防爆形及び安全増防爆形の電動機,白熱電燈を試作した。
 この試作品を用いて防爆性確認のための試験を行ない,トンネル建設工事用の防爆形電気機器の製作に関する仕様及び試験方法を確立した。(図7,表9,参2)


刊行物・報告書等 研究成果一覧