労働安全衛生総合研究所

安全ガイド SG-No.1 の抄録

ヒドロキシルアミン等の爆発危険性と安全な取扱いについて

SG-No.1

 本安全ガイドは,ヒドロキシルアミンの取り扱い時に発生した爆発災害の調査・研究の過程において明らかとなったヒドロキシルアミン類の爆発危険性及びその安全な取扱い方法について,同種災害の防止の参考に資するため,独立行政法人産業安全研究所安全ガイドとして公表するものであり,以下の構成となっている。

 第1章には,ヒドロキシルアミン,ヒドロキシルアミン塩類,及びこれらの水溶液(以下,これらの総称を「ヒドロキシアミン等」と記す。)の一般的事項,物理的性質,化学的性質,他の化学物質との反応性等について,文献,主なメーカーである日進化工(株)の技術資料等に基づいて示した。

 第2章にはヒドロキシアミン等の爆発危険性として,ヒドロキシルアミン,ヒドロキシルアミン塩類,及び濃度の異なる水溶液について,まず,熱分解特性を調べるため示差走査熱量計(DSC)による熱分析試験及び圧力容器試験を行い,その結果を消防法危険物判定基準により判定した結果を示した。次に,ヒドロキシアミン等は金属イオンが存在すると激しく反応するので,代表として鉄イオンを添加したときのヒドロキシアミン水溶液の分解(発火)特性,及びヒドロキシアミン等の小型反応熱量計による熱分析試験結果を示した。また,ヒドロキシアミン水溶液の爆ごう性を調べるため,爆薬による鉄管起爆試験,鉄イオン添加によるステンレス配管内爆ごう転移試験の結果を示した。

 第3章には,各種ヒドロキシルアミン等の危険性判定結果等,第2章の試験結果も踏まえて,文献に基づいて,応急措置,緊急措置,適用法規等も含めてヒドロキシルアミン等の安全な取り扱い方法について示した。

第4章には,参考資料として,実測したヒドロキシアミン水溶液の物性値(動粘性率・比重),ヒドロキシアミン等に適用される消防法による危険性判定試験法と判定基準,及びヒドロキシアミン類による災害事例を示した。


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