労働安全衛生総合研究所

研究報告 RR-32 の抄録

水中漏電場の電界強度に関する研究(第2報) –漏電場に存在する物体の影響の解析–

RR-32-1
本山建雄,山野英記,田中隆二
 均一又は不均一な電界を形成している水中の漏電場に介在物が存在する場合,その電界の受ける影響を電撃防止の立場から理論的に考察した。すなわち,介在物について,その導電率,大きさ及び形状を,水については導電率を,そして介在物との関連において介在物が存在しないときの電界の方向及び強度をパラメータとして取上げ,これらと Es(介在物があるときの漏電場の電界強度と,介在物がないときの電界強度との比)との関係を解析的に明らかにし, Es の最大値とその位置を推定した。(図9,表1,参4)

建設工事用足場の養生シート、防音パネルに作用する風圧力についての三次元数値解析(第1報)

RR-32-2
木下鈞一
 本報では,建築工事用足場の風荷重を6種類のモデルについて数値解析を行った。数値解では,乱流量については2方程式モデルを用い,3次元非圧縮性乱流の場合の偏微分方程式をMAC法によって解いた。風力係数を風洞実験結果と比較するとかなりよく似た値が得られた。(表2,図25,参15)

災害発生時間の分布に関する研究(第2報)

RR-32-3
花安繁郎
 事業所で日常的に行なう安全水準の評価尺度として,災害発生時間はいくつかの利点を有している。本論は,災害発生時間を用いた評価法の適用範囲を広げるため,災害が発生する迄の時間が最も短い時間(最小災害発生時間)と,最も長い時間(最大災害発生時間),およびそれらの総時間に対する比の分布について検討を加えた。
 最小および最大値の確率分布の一般式を導いたのち,災害の発生がランダムな場合の,最小,最大災害発生時間数あるいは,最小,最大時間比の分布を求め,これらの分布を利用した評価法について考察を加えた。(図12,表2,参5)

ゴンドラ用跨座式突梁の安定性

RR-32-4
河尻義正,森宜制
 可搬型ゴンドラに用いられる跨座式突梁について,理論式を用いたコンピュータシミュレーションと模型実験を行ない,同突梁の本質的安定条件を求めた。(表6,図16,写真1)

マイクロエレクトロニクスを用いた自動生産システムの安全性評価(第1報) –エネルギー転移連鎖と産業用ロボットの潜在危険–

RR-32-5
佐藤吉信,杉本旭,前郁夫
 本報ではME化自動生産システムの安全性評価の第1ステップに必要とされる,潜在危険の概念に厳密な定義が与えられ,その同定論が研究された。次に,代表的なME機器である産業用ロボットを例にとり,これを用いた生産システム内で生ずる,望ましくないエネルギー転移連鎖の型,潜在危険を生ずるエネルギー形式およびそれによって生ずる災害の型が検討された。そして,ここで得られた研究結果により,安全性評価の次のステップである,潜在危険性条件のシステム的解析が効果的に行なわれるであろうと結論された。(表1,図3)

安全破裂板に関する研究 –背圧安全破裂板の挙動とじん速破裂について–

RR-32-6
鶴見平三郎
 2枚の安全破裂板を取付けた空間部を気体で加圧した静圧状態にしておき,外部から水素・空気系の予混合ガスの爆発により,これに動圧を加えて破裂させ,その破裂の挙動を解明した。また,これをふまえて安全破裂板のじん速破裂方法を明かにした。安全破裂板の試料としてアルミニウム製平板を用い,加圧気体としては空気,窒素,ヘリウムをそれぞれ用いた。
 静圧及び動圧条件下における破裂圧と背圧の相関の状況から,破裂圧の背圧に対する依存性があることを示した。また,背圧の安全破裂板に対する補強効果は加圧気体の密度に関連を有することを示した。
 これらの結果から,爆発検知・背圧放散センサーと2枚組安全破裂板からなる安全破裂板の新しいじん速破裂方法を見出した。(図14,写真8,引用文献21)


刊行物・報告書等 研究成果一覧