労働安全衛生総合研究所

研究報告 RR-30 の抄録

水中において下肢強直を起こす電撃の強さと許容限界 –ウサギを水中の電場にさらす水槽実験–

RR-30-1
山野英記,本山建雄,田畠泰幸
 水槽実験によって,ウサギを水中の電場にさらした場合に下肢強直が発生する電撃の強さを調べ,これをもとに許容限界を定めた。
 水槽は相対する側壁内側に平行平板電極を備えたアクリルの直方体容器である。これに塩水(3.5%の並塩溶液で,ほぼ海水に相当する)を張り,水面の中央にウサギを配置した。電撃は50Hz正弦波,持続時間10sである。
 水の導電率が約5S/mのとき,ウサギに下肢強直を起こす電場は平均約8・5V/mであった。ウサギ(及び人間)に対する許容限界(下肢強直を起こさない電場の上限)は2.5V/mと推定される。(図6,表1,文献11)

水中漏電場の電解強度に関する検討

RR-30-2
本山建雄、山野英記、田畠泰幸
 水中電撃防止の基礎資料を得るため,漏電電極に伴う要因と水中漏電場の電界強度との関係を漏電場モデルを用いて解析的に検討し,その数値例を示した。
 なお,要因は漏電電極の電位に関係する電気的要因と漏電電極の幾何学的特性に関係する幾何学的要因とに分けられ,前者は電源電圧 0 漏電電極間の抵抗 w 等であり,後者は漏電電極の大きさ ,形状の尖鋭さ ,漏電電極間の距離 等である。
 これら要因の電界強度への影響を検討したところ, 0 の増加, w の増加, の減少, の増加,2つの漏電電極が異極性のとき の減少及び同極性のとき の増加は,最大電界強度を増加させるという結果が得られ,最大電界強度から見た電撃危険性は,それらの場合において大きくなると考えられる。(表1,図9,参4)


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