労働安全衛生総合研究所

研究報告 RR-23 の抄録

粉じん爆発の危険性評価 –下限界濃度と爆発圧力–

RR-23-1
内藤道夫,松田東栄
 可燃性粉じんの爆発性の評価を爆発下限濃度と爆発圧力を比較する方法で研究を行なった。
 爆発下限濃度と爆発圧力の測定はいくつかや化学薬品とプラスチックの粉末について一般によく使用されている垂直管型爆発筒を用いて行なった。
 爆発下限濃度における粒度の影響は顕著であって,ある程度以上粉体粒度が大きくなると火炎の伝播が非常に困難となる。
 粉じんを分散させる空気圧力の大きさによって爆発圧力が影響を受けることは明らかであり,したがって初圧–爆発圧力比を使用することが望ましいことであると結論された。また最大爆発圧力はある程度以上粉体がこまかくなると,粒度にはほとんど無関係となることが分った。(表1,写真1,図11,参12)

プラスチック粉じんの爆発限界酸素濃度について

RR-23-2
内藤道夫,松田東栄
 ポリエチレンおよびポリプロピレン粉じんの燃焼に対する限界酸素濃度を径15㎝,長さ1.9mの垂直燃焼筒を使用して測定した。限界酸素濃度の最低値は,不活性ガスとして窒素を使用した場合,11.4 %で,この値は両方の粉じんに共通していた。点火源の種類と粉じん粒度の影響も限界酸素濃度に関係することが分った。(写真1,図6,参8)

火炎防止器に関する研究(第2報) –多層金網による爆轟の阻止–

RR-23-3
林年宏
 固体細隙における消炎現象を利用して伝播途上の爆轟波を阻止するデトネーション・アレスタの設計基礎データをえるため,フィルター用多層金網を消炎素子として1インチ管中において実験した。初圧1 ㎏/㎠ (G) までの水素–空気当量混合ガスに対しては,金網を多孔板により補強すれば爆轟の阻止は可能であった。金網の消炎能力は補強用多孔板の開口面積の影響をうけることがわかったほか,流量抵抗と消炎能力の関係についても有益な知見をえた。
 また,爆轟は直接阻止するよりもいったん中断させたあとのほうがはるかに消炎させやすいが,爆轟中断の目的に多孔板を用いる新しい方法を提示し,多孔板の開口面積の小さいほうが中断効果の大きいことを実験により確かめた。(表2,図13,参5)

ビトリファイド砥石の疲れ強さ

RR-23-4
粂川壮一
 ビトリファイド砥石の変動応力下における破断強度の挙動について片振り繰返し引張試験によって究明し,ビトリファイド砥石について,破断強度が荷重繰返し数に対して依存性があり,繰返し応力振幅が増大する程,破断繰返し数が減少する傾向が得られた。(図11,表5)

火炎防止器に関する研究(第3報) –アセチレン–空気系爆ごうの阻止–

RR-23-5
林年宏
 固体細隙における消炎現象を利用して伝播途上の爆ごう波を阻止する方法に関する研究の一環として,フィルター用多層金網および焼結金属の消炎特性について検討した。実験は1インチ管中において,初圧2 ㎏/㎠ までのアセチレン–空気混合ガス(4–15 vol.%)について行ない,爆ごう阻止に必要な消炎素子の厚さをえたほか,爆ごう阻止の難易を決定する因子は混合ガスの濃度と初圧であって爆速は関係ないことを示した。また金網で爆ごうが阻止されない場合について金網からあとの火炎速度を測定し,これにもとづき爆ごうが阻止される限界の圧力を予測する方法を示した。(表4,図6,参7)


刊行物・報告書等 研究成果一覧