労働安全衛生総合研究所

研究報告 RR-21 の抄録

火炎防止器に関する研究(第1報) –焼結金属の消炎性能について(1)–

RR-21-1
林年宏,鶴見平三郎
 火炎防止器(フレーム・アレスター)の素子としての利用を前提として,フィルターとして市販されている焼結金属円板の消炎性能を,青銅とステンレス鋼の両材質について,水素–空気混合ガスを対象として実験した。当量濃度付近の爆燃に対する消炎性能は比較的良好であり,実用化が期待されるが,デトネーションに対してほ強度的に難点があるとわかったほか,焼結金属の濾過径と材質,爆発容器の形状,ガス濃度などと消炎性能との関係について有益な知見を得た。(表8,図12,参10)

岩石微震音に関する研究(第2報) –大谷石微震音の発生特性について–

RR-21-2
前郁夫,鈴木芳美
 岩石が応力をうけて破壊にいたる過程において,岩石内部の微小破壊による微震音(弾性衝撃波)が発生する。建築用石材である大谷石の採石場では,過去において落盤,崩壊などの災害が発生しているが,この防止対策の一つとして微震音の利用が考えられる。このための基礎的データを得るため,実験室および採石場において,各種の荷重状態における破壊過程で発生する微震音について記録,解析を行ない,その発生特性を追求した。その結果,大谷石微震音は,他の岩石にくらべてエネルギーレベルが小さいこと,低応力下で頻発する傾向があること,微震音の発生と岩石の変形との間に相関関係が存在することなどが明らかとなった。(図25,参考8)

クレーン構造部の動的荷重について –巻上げの際の衝撃荷重–

RR-21-3
袴塚禎三,河尻義正,粂川壮一
 天井クレーン巻上時の衝撃荷重を吊具を主として実測した。
 また,これらの衝撃荷重の発生は,クレーンを2質点と粘性抵抗をもった2バネの振動系によるものと考え,その連立運動方程式をアナログ計算機により解いた。その結果,実測値とよく近似した解が得られた。(図23,表4)

水素の爆発危険性についての研究(第2報)–水素–空気混合物の爆発圧力–

RR-21-4
柳生昭三,松田東栄
 水素–空気混合物の爆発圧力を常圧から 50 ㎏/㎠ までの圧力下で測定し,水素の爆発圧力に及ぼす高圧の影響を検討した。また同時に,最高圧力到達時間および圧力上昇平均速度も求めた。実験は直径 7.5 ㎝,長さ 50 ㎝の筒形耐圧容器中で,火炎の上方伝ぱにより行なった。(図7,参3)


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