労働安全衛生総合研究所

研究報告 RR-19 の抄録

爆圧放散孔に関する研究(第1報) –熱風流動式箱型乾燥機に対する応用について–

RR-19-1
田口昇,鶴見平三郎,林年宏,松井英憲
 密閉された状態で可燃性ガス・蒸気あるいは粉体を取扱かう設備に爆圧放散孔をとりつけることは,万一爆発が生じたときの被害を最少限度に抑えるための方法として有効である.本報では爆圧放散孔の設計データをえるために,1㎥ の容器中でLPG,プロパンおよびメタノール蒸気と空気との混合物を爆発させ,ベントカバーの材質と開口面積とが最大爆発圧力に与える影響を検討した.更にこの結果にもとづき実際の箱型乾燥機に対してアルミ箔をベントカバーとする爆圧放散孔を設計し,実験によりその効果と安全性をテストした.(表4,図15,参21)

爆圧放散孔に関する研究(第2報) –箱型集じん機に対する応用について–

RR-19-2
田口昇,鶴見平三郎,林年宏,松井英憲
 爆発の危険性のあるプロセスに使用される設備に爆圧放散孔をとりつけることは,被害抑制の手段のひとつとして極めて有効である.本報では第1報に続いて爆圧放散孔の設計データを得るための基礎実験と,ある型式の集じん機に対する応用実験の結果を報告する.基礎実験では 1 ㎥ の容器中でプロパンあるいは水素と空気との混合物を爆発させ,開口面積の大きさと開口の位置が爆発圧力に与える影響を検討した.これにもとづいて集じん機に対する爆圧放散孔を設計し,その効果と安全性をエポキシ樹脂およびアルミニウムの粉じん爆発によって実験的に確認した.(表4,図35,参4)

金属の損傷原因に関する電子顕微鏡的研究(第1報) –電子顕微鏡による金属破面の観察–

RR-19-3
秋山英司,近藤太二,橘内良雄
 純鉄,炭素鋼 ステンレス鋼,鋳鉄を用いて引張,衝撃,疲れ試験を行なって得られた破面を電子顕微鏡によって観察し,それぞれの破面形態の特徴を明らかにした.
 電子顕微鏡による破面の観察が材料の破壊原因を究明するのに,有効な手段であることを示すために,稼動中に破壊した機械部品に対するいくつかの調査例を示した.(表2,図31,参26)

プラスチックの熱酸化分解に要する活性化エネルギー

RR-19-4
琴寄崇
 プラスチックの熱に対する性質を評価するために,示差熟分析でよく知られている吸熱的分解反応に関する kissinger の手法を発熱的熱酸化分解反応に適用し,11種の代表的熱可塑性樹脂について,おのおの常圧の酸素・空気・窒素の雰囲気中において表記の活性化エネルギーおよび Arrhenius 式における頻度因子,反応速度定数を求め,それらの間で定量的に比較検討し,さらにいくつかの条件の及ぼす影響について考察を加えた結果を述べている.(表6,図12,参25)

鋼板製グラインダカバーの防護効果について

RR-19-5
秋山英司,粂川壮一
 グラインダカバーに衝突する砥石の破片を高速度撮影カメラによって観察し,鋼板製グラインダカバーの防護効果について検討を行った.
 砥石の直径方向に亀裂が発生し,2個の破片に分離する状態が観察された.又,調整片が,破片の飛散に対する防護効果を有することが判明した.(表2,図14,参1)

人工環境下における電気設備の安全化に関する研究(第1報) –放電火花による”CH4-O2混合ガス”および”O2中の可燃性固体”の点火危険限界–

RR-19-6
田中隆二,菅原宣義
 IEC形火花発生装置を用い,CH4 - O2 または CH4 - N2O 混合ガスの極小点火限界濃度を求め,次いで低圧直流電源の誘導,抵抗および容量回路の放電火花がこれらの混合ガスに点火する限界を測定した.また CH4 - O2 の本質安全防爆上からの性質を吟味した.
 Break-flash No.3 および Intermittent Break Apparatus を用いて加圧下および大気圧下の O2 中におかれた可燃性固体が誘導および抵抗回路火花によって着火する限界を求め,大気圧下の CH4 - 空気混合気の点火限界と比較して示した.(表5,図8,参6)


刊行物・報告書等 研究成果一覧