労働安全衛生総合研究所

研究報告 RR-18 の抄録

水素の爆発危険性についての研究(第1報) –水素の爆発限界に及ぼす圧力の影響–

RR-18-1
柳生昭三,松井英憲,松田東栄,安本弘
 水素–空気系,水素–酸素系および水素–酸素–窒素系の爆発限界を常圧から80 ㎏/㎠ までの圧力下で測定し,水素の爆発限界に及ぼす加圧の影響を検討した.測定は直径 7.5 ㎝,長さ 50 ㎝の耐圧容器中で火炎の上方伝ぱにより行なった.(図7,参6)

揚貨装置のワイヤロープに作用する荷重 –けんか巻の場合–

RR-18-2
田口昇,鶴見平三郎,林年宏,松井英憲
 揚貨装置のけんか巻きの場合の各ワイヤロープにかかる張力を測定した.揚貨装置の設定は代表的な7つの型を選び,次の様な操作における各ワイヤロープの張力を測定した.
  1. 吊荷が横に水平移動する時.この結果ではトッピングリフトワイヤには吊荷の重量の約5倍,ガイには約3倍の張力がかかることがある.
  2. 地切りの際.
  3. 吊荷を急停止させた場合,
  4. 吊荷が船の方向又はこれと直角に揺動した場合.
 なおこの外,ガイの最適固定位置を知るために,位置による張力の変化を計算により求めた.(表22,図18)

耐圧容器の内容積と爆発圧力の関係について –防爆電気機器の試験方法に関する一考察–

RR-18-3
鶴見平三郎,林年宏
 爆発圧力の測定における測定器の組合せの影響について実験した.圧力変換器は抵抗線歪ゲージ式(圧力へッド)およびピエゾ電気式のものを選び,これらに応じた増幅器および記録装置を種々組合せて爆発圧力の時間的変化を記録した.PE-30KF型圧力ヘッド–DPM-AT型動歪測定器–FR101型電磁オシログラフ(ガルバ固有振動数 1000 Hz)の組合せによる測定値を基準とした時,その他の組合せによって50%水素–空気混合物の最大爆発圧力(約10 ㎏/㎠ まで)を測定した結果,平均3%以上の差は生じなかった.30%混合物ではメモリスコープによる記録が高い値を示し,電磁オシログラフのガルバは固有振動数の高い方が高い測定値を得た.このほか爆発圧力の波形についても若干の考察を加えた.

人間オペレータ–厚板圧延装置システムに関する研究 –ハードウェアとソフトウェアの開発–

RR-18-4
大川雅司,西本武彦,押田将貴,河原節雄
 人間–機械システム工学の観点から,人間オペレーター厚板圧延装置システム性能の評価に必要なハードウェアとソフトウェアの開発を目的とする.ハードウェアは計算部,ミル制御盤,継電器盤,評価表示盤,記録装置で構成し,システム評価用のソフトウェアについては操作能と品質および誤操作に基づく関数式を試案した.(表4,図28,写真2,参12)

導電性繊維による静電気の除去

RR-18-5
田畠泰幸
 1 ㎝当りの電気抵抗が数100Ω程度である50μ以下の細い導電性繊維(ECF)には,伝導のみならずコロナ放電による静電気除電能のあることを証明した.なおこの静電気除電能は細い金属線と定量的にも等価であり,これを用いた場合の除電特性を定める因子がそのコロナ放電特性にあることも明らかにした.したがってECFのコロナ放電特性を種々な立場から実験によって検討してみた.その結果これを用いた場合には物体に帯電している静電気がECFのコロナ放電開始電圧相当値まで除電されること,およびECFの除電能は湿度,極性等にほとんど影響されないことを立証した.なおECFの電気抵抗が1 ㎝当り 109 程度までであると,先のECFと同様コロナ放電による静電気除電能のあることが実験によって確認された.(図21,表3,参9)


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