研究報告 RR-17 の抄録
放射性同位元素による静電気の除去 -帯電物体の電位減少について-
RR-17-1 |
田畠泰幸,坂主勝弘,児玉勉 |
静電気帯電物体に放射性同位元素を放射すると,その物体の静電気が除去される.ここでは,この除電現象を定量的に解析し,放射性同位元素を利用した除電機を開発する場合の定量的な基礎資料を得ることが目的で実験を行なった.この報告は.その第1段階として静電気が均一表面帯電している場合,放射性同位元素の照射によって帯電物体の電位がどのように減衰するかについて調べた実験結果とその検討である.また帯電物体を自然放置していた場合の電位減少についても解析,実験した.その結果は付録に示しておいた.(図14,表2,参8) |
ナフサ分解ガス-空気系混合ガスを対象とする容器のフランジに関するセーフ・ギャップについての研究
RR-17-2 |
鶴見平三郎,松田東栄 |
内容積8,000㏄の球状容器を用いてナフサ分解ガス-空気系混合ガスの実験的セーフ・ギャップを測定した.この実験に用いたナフサ分解ガスの組成は,水素,一酸化炭素,アチセレン,エチレン,その他からなっている.この実験の結果つぎのことが判明した.
- 実験的セーフ・ギャップは,ナフサ分解ガス-空気系混合ガスの濃度によって変わる.
- 最大実験的セーフ・ギャップは,0.365㎜であった.
- この組成のナフサ分解ガス-空気系混合ガスは,爆発等級3に属するガスであると推定される.
(表2,図6,参3) |
土止支保工における切張の継手に関する研究
RR-17-3 |
森宜制,前郁夫 |
土止支保工における切張が,継手の存在によって切張の座屈強度をどの程度低下させるかを理論的に解析し,ついで300H鋼製の切張に対する3種類の継手の曲げ剛性を実験的に求め,その結果を前記解析結果に代入してそれぞれの継手に対する評価を行った.(表7,図21,参7) |
火炎防止器のn-ヘキサンに対する消炎性能について
RR-17-4 |
駒宮功額 |
石油タンクなどに火炎防止器が設けられているが,その消炎性能は実験で確められていないまま使用されている例が少なくない.そこで実際に用いられている火炎防止器の消炎性能について実験を行なった.この結果16メッシュ,SWG26,15枚のものであればn-ヘキサンのあらゆる爆発性混合ガスに対し連続して火炎を阻止することを認めた.(表2,図8,参4) |
爆発性ガスの最小点火電流測定装置の基礎的考察
RR-17-5 |
田中隆二 |
水素およびメタンを対象として,銅線断線装置,Break-flash No.3 Apparatus, Intermittent Break ApparatusおよびIEC装置による最小点火電流の測定を,低圧直流の誘導および抵抗回路について比較し,IEC装置の最小点火電流測定装置としての点火性を論じた.
次いで,IEC装置の電極々性および電極材質が点火限界に及ぼす影響について述べている.
また試作した最小点火電流自動測定用IEC装置の概要を付録に紹介している.(表2,図9,参18) |
低圧直流誘導回路の開離火花による爆発性ガス蒸気の点火限界(最小点火電流)
RR-17-6 |
田中隆二 |
IEC形火花発生装置を用い,24V,95mHの誘導回路の開離火花による最小点火限界濃度および最小点火電流を種々のガス蒸気について測定し,これをBrealk-flash No.2 Apparatusによる結果(ERAにおいて測定)と比較して示した.また,インダクタンスと並列にオーム抵抗,非直線抵抗,コンデンサーおよびダイオードを接続し,最小点火電流増加の様子を調べた.(表4,図10,参11) |
加圧下のメタン-空気混合気中における本質安全防爆電気回路の基礎的研究
RR-17-7 |
田中隆二 |
ゲージ圧力が0-15 ㎏/㎠ の範囲のメタン-空気混合気(8.3 vol.%)に対して,誘導回路,抵抗回路および容量回路の点火限界をIEC形火花発生装置を使用して測定し,大気圧下における場合の点火限界と対比して示した.
本実験の結果に基づき,加圧下において使用すべき本質安全防爆電気回路の実用設計および試験方法の基本方針を検討した.(表2,図20,参2) |