粉体充てん時の静電気対策
1. はじめに
粉体を取り扱う産業現場では、粉体が輸送される際に配管と繰り返し接触・摩擦することによって静電気が発生します(粉体の帯電)。特に、空気輸送では粉体の帯電量が102µC/kgになることもあり、このような帯電粉体がサイロなどの大型貯蔵設備に充てんされると設備内に静電気が蓄積し、静電気放電が発生します。設備内に可燃性物質がある場合、この静電気放電が着火源となって火災や爆発が起こる可能性があるため、安全対策が必要です。
とはいえ、静電気の発生は自然現象なのでなくすことはできません。しかし、発生した静電気を除去することは可能です。静電気放電は蓄積した電荷の量が限界に達することで発生するので、そうならないように電荷が蓄積する前に除去(除電)することが重要です。また、電荷は蓄積するだけでなく、緩和(接地面から電荷が逃げる)もするので、粉体の充てん速度(単位時間あたりに充てんする粉体の重量)を小さくして電荷の蓄積を抑制することも対策になります。本コラムでは、当研究所が提案している粉体充てん時の静電気対策についてご紹介します。
2. 自己放電式キャップ型除電器を利用した静電気対策
図1は、当研究所が開発したキャップ型除電器です。粉体を排出する配管端に接地した状態で取付けることで配管から排出される粉体を除電します。このキャップには複数の針が付いており、帯電した粉体がキャップを通る際に粉体と針先との間に発生するコロナ放電によって粉体を除電することができます。この除電器は自己放電式で、コロナ放電を発生させるための高圧電源が不要であるため、どこにでも簡単に取付けられる上、防爆エリアでも利用できます。実際に4本の針が付いているキャップ型除電器を排出配管に取付けて粉体充てん実験を行った結果、除電器なしの時に発生していた静電気放電がほぼ消滅し、粉体を貯蔵槽内に充てんする前に除電できることが確認されました(図2)。
3. 除電棒を利用した静電気対策
図3は、産業規模のサイロ内に複数の金属棒(除電棒)を取り付けたものです。これらの除電棒はすべて接地されており、サイロ内に充てんされた粉体の電荷を除電棒から逃がすことで電荷の蓄積を緩和します。通常、サイロ内に充てんされた粉体が有する電荷は、接地されたサイロの壁面から逃げる(電荷緩和)のですが、充てん速度や粉体の帯電量が大きい場合には電荷の蓄積速度が大きく緩和が間に合いません。そこで上記の除電棒をサイロ内に取り付けることによって電荷を逃がす近道をつくり、電荷蓄積を防ぐというわけです。当研究所で実施した実験では、図4のように、除電棒を1~4本取り付けることによって高エネルギーの静電気放電が激減することが確認されています。

図1 キャップ型除電器
図2 キャップ型除電器の効果
図3 除電棒を取り付けたサイロ
図4 除電棒の効果
4. おわりに
本コラムでは、粉体充てん時に利用できる2つの静電気対策についてご紹介しました。粉体の静電気対策は設備の接地のみでは十分でないことが多く、複数の対策を併せて実施することが重要です。
参考文献
- M. Shoyama, Y. Osada, K. Choi (2024) Electrostatic Neutralization of Loading Powder Using Pipe-End Cap with Needle Electrodes. 2024 IEEE Industry Applications Society Annual Meeting (IAS), IEEE.
- M. Shoyama, Y. Osada, K. Choi (2025) Electrostatic elimination effect of multiple metal rods on loading powder. Powder Technol., Vol. 452, 120543.







