シェフィールドグループミーティング2017開催報告
1. はじめに
シェフィールドグループ(Sheffield Group)は欧米を中心とした労働安全衛生研究機関の代表者(所長クラス)による連絡会議で、当研究所は2016年から加盟しました。シェフィールドグループでは、労働安全衛生に関する各国の最新情報について意見交換するための会合(シェフィールドグループミーティング)を参加国の持ち回りで毎年1回開催しており、一昨年はシンガポール、昨年はデンマークで開催されました。本年は当研究所がホストとなって日本で開催することになったものです。
2.シェフィールドグループミーティング2017概要
本年のシェフィールドグループミーティングは、6月5日から7日までの3日間に渡って、東京で開催されました。ミーティング初日の6月5日には独立行政法人労働者健康安全機構の有賀徹理事長の挨拶があり、各国の代表者を歓迎するとともに、機構内で期待される当研究所の役割について説明がありました。
今回のミーティングでは、海外からは11ヶ国(イギリス、イタリア、オーストリア、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ポーランド、カナダ、韓国、シンガポール)の労働安全衛生研究機関の代表者16名の出席があり、当研究所からは豊澤康男所長を始め7名が出席しました。また、厚生労働省からも奥村伸人・労働基準局安全衛生部化学物質対策課長にご出席いただきました。そして、シェフィールドグループ代表者のProf. Andrew Curran(イギリスHSE, Chief Scientific Advisor)の司会により、以下の三つのセッションで議論が進められました。
(1) 一般セッション
今回日本から提案したテーマである、①最近の労働安全衛生に関する問題点、②その解決策、③研究機関の役割について、参加各国のそれぞれの国から発表してもらい、研究協力の可能性を含め幅広く議論しました。当研究所からは、豊澤康男所長が安全分野、甲田茂樹所長代理が衛生分野について講演しました。
(2) ICOH*)ワークショップ
ICOHプレジデントのDr. Jukka Takala(シンガポールWSHI, Senior Consultant)の話題提供により、労働災害、職業疾病に関する国際統計の収集及びICOH傘下での労働安全衛生研究機関の国際協力に関して議論しました。
(3) メンタルヘルスに関するワークショップ
当研究所の高橋正也・産業疫学研究グループ部長、吉川徹・過労死等調査研究センター長代理の話題提供により、過労死、ストレス、精神的幸福など、労働環境下でのメンタルヘルスに関する広範な問題と解決方法について議論しました。
なお、最終日の6月7日午後には希望者に対して当研究所清瀬地区の見学会を開催し、説明担当の研究者と熱心に議論する海外ゲストの姿が見られました。
3.おわりに
今回のシェフィールドグループミーティングの開催により、各国の労働安全衛生研究機関の組織、現在取り組んでいる課題等について詳細に知ることができました。また、通常の研究発表を目的とした国際会議とは異なり、少人数で集中的に議論する形式であったこともあり、国際的な人脈を構築するための絶好の機会となりました。最後に、次回2018年のシェフィールドグループミーティングはドイツのボンで開催されることが発表され、閉会となりました。
シェフィードグループミーティング2017の参加者
*) ICOH: International Commission on Occupational Health(国際労働衛生委員会)。国際連合から非政府組織として承認を受け、その活動上、世界保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)、UNEP、CEC、ISSAと緊密な関係を保っている。