「労働安全衛生に関する国際ワークショップ」開催報告
平成29年2月15日(水)–平成29年2月16日(木)に、当研究所の清瀬地区において「労働安全衛生に関する国際ワークショップ(IWOSH2017)」を開催しました。
本ワークショップは、英国及び米国の労働安全衛生政府機関の専門家と我が国の専門家が一堂に会して、「労働安全衛生における許容されるRiskの考え方–安全目標の考え方」を中心に各国の考え方や政策について討議し、今後の労働安全衛生対策の方向性等について検討することを目的として開催したものです。
初日の2月15日は、クローズドセッションとして開催し、労働安全衛生に関する討議を中心に行いました。二日目の2月16日は、オープンセッションとして講演会形式で開催し、一般の方にもご参加いただけるよう日英、英日同時通訳の下で行いました。清瀬地区の講堂がほぼ満席となる120名のご参加があり、参加者からは労働安全衛生に関する活発な質疑やご助言をいただきました。講演者と演題は以下の通りです。
講演1 東京大学 新井充 教授 「化学産業のリスクの考え方」
講演2 厚生労働省建設安全対策室 夏井智毅 技術審査官 「日本における労働安全衛生行政–リスクの考え方を中心に– 」
講演3 中央労働災害防止協会 技術支援部国際センター 川島孝徳 専門役 「中災防のリスクの考え方」
講演4 産業技術総合研究所 松永猛裕 上級主任研究員 「化学物質のフィジカルハザード評価」
講演5 HSE(英国安全衛生庁),HM Principal Inspector,Nic Rigby氏 「英国における規制戦略–建設とオリンピック」
講演6 NIOSH(米国労働安全衛生研究所),
Chief, Protective Technology Branch,Hongwei Hsiao氏 「労働安全モデル:戦略、研究、実践、規則」
講演7 近畿大学 三柴丈典 教授 「法制度的側面からみたリスク・アセスメント - 諸外国の法政策の特徴とリスク概念の関係 -」
講演8 東京工業大学 中村昌允 特任教授 「化学プラントの安全管理とこれからの安全目標」
講演終了後、初日の討議の内容を踏まえ全体討論を行いました。その際、本ワークショップの成果として、今後の労働安全衛生対策の方向性等について次の事項の必要性を確認しました。
HSE(英国安全衛生庁)、Nic Rigby氏の講演
NIOSH(米国労働安全衛生研究所)、Hongwei Hsiao氏の講演
全体討論の様子
本ワークショップは、英国及び米国の労働安全衛生政府機関の専門家と我が国の専門家が一堂に会して、「労働安全衛生における許容されるRiskの考え方–安全目標の考え方」を中心に各国の考え方や政策について討議し、今後の労働安全衛生対策の方向性等について検討することを目的として開催したものです。
初日の2月15日は、クローズドセッションとして開催し、労働安全衛生に関する討議を中心に行いました。二日目の2月16日は、オープンセッションとして講演会形式で開催し、一般の方にもご参加いただけるよう日英、英日同時通訳の下で行いました。清瀬地区の講堂がほぼ満席となる120名のご参加があり、参加者からは労働安全衛生に関する活発な質疑やご助言をいただきました。講演者と演題は以下の通りです。
講演1 東京大学 新井充 教授 「化学産業のリスクの考え方」
講演2 厚生労働省建設安全対策室 夏井智毅 技術審査官 「日本における労働安全衛生行政–リスクの考え方を中心に– 」
講演3 中央労働災害防止協会 技術支援部国際センター 川島孝徳 専門役 「中災防のリスクの考え方」
講演4 産業技術総合研究所 松永猛裕 上級主任研究員 「化学物質のフィジカルハザード評価」
講演5 HSE(英国安全衛生庁),HM Principal Inspector,Nic Rigby氏 「英国における規制戦略–建設とオリンピック」
講演6 NIOSH(米国労働安全衛生研究所),
Chief, Protective Technology Branch,Hongwei Hsiao氏 「労働安全モデル:戦略、研究、実践、規則」
講演7 近畿大学 三柴丈典 教授 「法制度的側面からみたリスク・アセスメント - 諸外国の法政策の特徴とリスク概念の関係 -」
講演8 東京工業大学 中村昌允 特任教授 「化学プラントの安全管理とこれからの安全目標」
講演終了後、初日の討議の内容を踏まえ全体討論を行いました。その際、本ワークショップの成果として、今後の労働安全衛生対策の方向性等について次の事項の必要性を確認しました。
- リスクゼロを目指すべきではあるがリスクは必ず存在するものなので、許容できるリスクを設定して、合理的に実行可能な範囲でできる限りリスクを低減すべきである。
- 建設や化学産業等、日本では施工時や運用時のリスクアセスメントが中心であるが、できる限りリスクを低減するために英国のCDM1) や米国のPtD2) のように、計画や設計段階からリスクアセスメントを実施する必要がある。
- それと同時に、KY活動等によるボトムアップ型の安全活動は、リスクアセスメントのようなトップダウン型の労働安全衛生対策にはない利点があるため、両者をうまく融合していくことも重要である。
- 労働災害の原因調査、ハザード評価はリスクを特定し対策を検討するためにも非常に重要である。
- 労働者の高齢化が進んでいる現状を踏まえ、今後は、若年労働者の対策に加え、高齢者の労働災害を考慮した安全衛生対策を検討する必要がある。
- CDM:Construction (Design and Management) Regulationsの略で、英国の建設業における安全衛生に関する規則であり、建設プロジェクトの計画から維持管理・解体までのすべての段階における、発注者、設計者、施工者、労働者の責務等について規定したもの。
- PtD:Prevention through Designの略で、建設プロジェクトのリスクやハザードについて設計段階から検討することにより、これらを最小限にできるという考え方で、米国等において提唱されている。
HSE(英国安全衛生庁)、Nic Rigby氏の講演
NIOSH(米国労働安全衛生研究所)、Hongwei Hsiao氏の講演
全体討論の様子
(研究推進・国際センター センター長 大幢 勝利)