労働安全衛生総合研究所

イラク労働・社会福祉省副大臣一行の当研究所視察訪問

 平成27年11月18日および19日の両日、Falih Hadi Ali Al-Ameriイラク労働・社会福祉省副大臣ご一行が当研究所の清瀬地区および登戸地区に来訪され、当研究所の役員、研究員らと意見交換を行われるとともに、研究施設を視察されました。同副大臣は、イラクにおける労働安全衛生の最高責任者でもあります。今回のご来訪は、国際協力機構(JICA)の招聘事業に基づくものであり、わが国の労働安全衛生事情および関連の研究の現状を把握することが目的でした。
 副大臣ご一行の構成は、以下のとおりです。(他にJICAから担当者随伴)
  (1) Falih Hadi Ali Al-Ameriイラク労働・社会福祉省副大臣
   (2007–2013:イラク建築省副大臣、2014年–現在:イラク労働・社会福祉省副大臣)
  (2) Kifah Kadhim Abdulrahman Al-Nuaimi(同省職業衛生局首席)
  (3) Azhaar Fadhil Majid Habeeb(同省国立労働安全衛生センター課長)
  (4) Deedar Mohammed Qader Qader(同省クルド地域労働・社会福祉局課長)

 以下、地区毎に、視察の概要を紹介します。

清瀬地区(11月18日(水)10:00-12:00)


 冒頭、当研究所の小川理事長が歓迎の辞を述べ、それに対し、副大臣より答礼のスピーチがなされました。その後、福澤理事より当研究所の概要を説明し、引き続き、下記の研究施設をご案内しました。
  (1) 建設安全実験棟・大型実験施設
  (2) 機械システム安全実験棟・機械安全実験施設
  (3) 共同実験棟・バーチャルリアリティシミューレータ施設
  (4) 化学安全実験棟・中規模爆発実験設備
  (5) 電気安全実験棟・粉体帯電実験設備
 各施設につき約15分という短い時間でしたが、熱心に視察され、質問も多くありました。
 最後に、研究員の採用方法、特許技術の活用方法などについて質疑応答の後、視察のご感想を述べられました。特に、イラクでは、労働安全衛生の向上のために若い人材を育てたいが、長年の紛争の影響で多くの職場が失われるとともに、たくさんの優秀な若者が自国を離れ、外国での勉学および就職を余儀なくされている現状であることに心を痛めていると述べられたことが印象的でした。


集合写真(中央、イラク国旗をお持ちなのがFalih副大臣)


機械システム安全実験棟視察のようす


電気安全実験棟視察のようす

登戸地区(11月19日(木)10:00-12:00)


 小川理事長によるあいさつ、登戸地区の研究体制および最近の研究成果についての説明ののち、イラク側から事前に要望のあった生体試料中の重金属の分析について、担当の研究員から研究成果を説明しました。いくつかの質疑の後、下記の研究施設を視察され、そこで行われている研究について質問が多く出されました。
  (1) 工学棟・工場換気について
  (2) 粉じん実験室・粉じんの計測について
  (3) 4階実験室・重金属に関する研究概要と測定装置の説明
 視察の後の質疑応答では、イラクで行われている有害な物質を取り扱う労働者の健康診断に関連して、生体試料中の重金属分析の具体的な方法やその難しさ、分析技術者の養成などについて多岐にわたり質問されました。すべての質問にお答えできる時間がなく、今後とも情報交換していきましょうということで、今回の訪問を終えられました。


集合写真(登戸地区管理棟前にて)


工学棟視察のようす


粉じん実験室視察のようす


4階実験室視察のようす

(国際情報・研究振興センター センター長 山隈瑞樹)
(国際情報・研究振興センター センター長代理 外山みどり)

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