働く人の安全に関する研究施設の公開(清瀬地区)
-平成27年度一般公開を終えて-
4月15日(水)13時00分から17時まで、清瀬地区の平成27年度研究施設一般公開を開催いたしました。当日は天候が心配されましたが、小雨がぱらつくことはあったものの、近隣住民の方々をはじめ、遠方からも多数ご来場いただき、最終的に400名の方々にご来場いただきました。
清瀬地区では、所内11か所の会場において、最近の研究成果の紹介、実験デモ、展示等、合計13件の公開を実施し、どの会場もたくさんの方々にご来場いただきました。以下、各施設公開等の様子を簡単にご紹介します。
JISで規定された安全靴の耐滑性(たいかつせい)で指標としている靴底が動いているときの摩擦(動摩擦)の理由について解説しました。また、この動摩擦係数の違いと、実際に人が使用したときの滑り現象と人が評価した値との関連性について紹介しました。
実物大の屋根実験設備において人体ダミーを用いた墜落防止実験をご覧いただきながら、はしごを用いた屋根等からの墜落防止設備についてご説明しました。来場者の中にはビデオを撮っている方もおられ、墜落防止に対する関心は高いようでした。
当研究所で開発した土砂崩れを検知するための簡易センサー、生き埋めになった際の土圧を計測する実験用マネキン、そして移動式クレーン等を設置する現場の地耐力を確かめるための試験装置をご覧いただくとともに、各研究の説明をしました。
玉掛け作業に使用されるベルトスリングの使い方を紹介し、ベルトスリングと荷の間に「当てもの」を使用することで、ベルトスリングの強度低下が低減されることを破断実験で実感していただきました。また、「当てもの」の有無によって、ベルトスリングの破断部に差異がでることを観察していただきました。
統合生産システムの入退出管理システムや、プレスブレーキ用安全システム、また福祉機器に対する挟まれ防止対策や、食品加工作業に対する設備対策と切創防止用保護手袋について紹介しました。
⑥『車両系の機械を対象としたシミュレーション装置』
ドラグ・ショベルなど車両系の機械作業時に、転落及び接触などの危険事象や、関連する安全装置について、シミュレーション装置の立体視動画像を用いて解説しました。また、倉庫中のフォークリフト荷役運搬作業をシミュレーション装置を用いて実演しました。
⑦『脚立上での作業姿勢の計測と評価』
脚立上の作業者の姿勢を計測する装置の説明と実演を行いました。また、脚立の使用が原因となった労働災害の実態と、特に災害の多い作業中の事故について解説しました。
携帯電話やノートパソコンの外装材として使われているマグネシウム合金について、その特性と燃焼危険性、災害調査の方法について説明しました。また、模擬実験として、初めに粉じん爆発を体験していただき、その後堆積した粉じんの燃え拡がりにおける水の影響の違いを観察していただきました。
⑨『粉じん爆発の原因となる静電気放電の防止対策』
実規模の粉体空気輸送設備において粉体が帯電し発生する静電気放電の様子や、その環境下における除電器による放電抑制効果について、ビデオでご覧いただきながら解説しました。また、簡単な静電気放電を体験していただきました。
⑩『大型クレーンのAM放送波による電波障害対策』
大型クレーンがAM放送送信所の近くで使われるときの過負荷防止装置への影響やフック部に誘起する高電圧について紹介しました。また、これらの電波障害を軽減する方法について現場実験を通じた結果についても紹介しました。
(9) 本部棟1階・第2会議室
次の2件の研究紹介とポスター展示を行いました。
⑪『化学反応の危険性評価と爆発現象の実証』
反応性が高い化学物質が発生する反応熱量及びその反応熱が放出される速度を適切に評価するための研究の意義、方法についてポスターで解説いたしました。また、規模を大きくした爆発現象の実証試験の様子をビデオで紹介しました。
⑫『調理と労働衛生』
登戸地区からの出張展示としてポスターを1点出しました。業務用調理器具から発生する有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素、二酸化窒素)の発生量と、それに基づいて算出される基本必要換気量をお示しし、現行法規が定める必要換気量との関係についても説明しました。
⑬『昔の労働安全衛生のポスター展』
国内外の労働安全衛生運動の貴重な史料として、当研究所で蒐集した労働安全衛生ポスター40枚を展示しました。来場者の中には、写真に撮られている方もおられ、皆さん熱心に鑑賞されていました。
平日にもかかわらず、本年度も多数の方々にご来場いただきました。この公開を切っ掛けに、当研究所の業務をご理解いただくとともに、私どもの研究成果を職場の安全活動にご活用いただければ幸いです。
今回、多数の来場者を想定して、ご来場者を分散するようにデモ実演スケジュールを設定しましたが、公開施設内に入りきれない場合や説明音声が聞こえにくい場合がありました。誠に申し訳ございませんでした。その他、アンケートでいただいた貴重なご意見と合わせて、来年度の一般公開では改善する所存です。
最後に、本年度の清瀬地区一般公開の内容については当日配布させていただいたパンフレットにも概要を記載しております。ご来場できなかった方は下記のURLからご覧ください。
https://www.jniosh.johas.go.jp/announce/2015/open2015/pdf/H27kiyose_pam.pdf
清瀬地区では、所内11か所の会場において、最近の研究成果の紹介、実験デモ、展示等、合計13件の公開を実施し、どの会場もたくさんの方々にご来場いただきました。以下、各施設公開等の様子を簡単にご紹介します。
実験施設の公開と展示
(1) 環境安全実験棟・映像解析室
①『作業靴の滑りにくさを評価する』JISで規定された安全靴の耐滑性(たいかつせい)で指標としている靴底が動いているときの摩擦(動摩擦)の理由について解説しました。また、この動摩擦係数の違いと、実際に人が使用したときの滑り現象と人が評価した値との関連性について紹介しました。
(2)建設安全実験棟・他目的大型実験室
②『高所からの墜落災害を減少させる』実物大の屋根実験設備において人体ダミーを用いた墜落防止実験をご覧いただきながら、はしごを用いた屋根等からの墜落防止設備についてご説明しました。来場者の中にはビデオを撮っている方もおられ、墜落防止に対する関心は高いようでした。
(3) 施工シミュレーション施設
③『土砂崩れによる生き埋め事故を防ぐ』当研究所で開発した土砂崩れを検知するための簡易センサー、生き埋めになった際の土圧を計測する実験用マネキン、そして移動式クレーン等を設置する現場の地耐力を確かめるための試験装置をご覧いただくとともに、各研究の説明をしました。
(4)材料・新技術実験棟・500t実験室
④『ベルトスリングの誤った使い方と強度低下』玉掛け作業に使用されるベルトスリングの使い方を紹介し、ベルトスリングと荷の間に「当てもの」を使用することで、ベルトスリングの強度低下が低減されることを破断実験で実感していただきました。また、「当てもの」の有無によって、ベルトスリングの破断部に差異がでることを観察していただきました。
(5)機械安全システム実験棟・大実験室
⑤『機械設備の安全対策』統合生産システムの入退出管理システムや、プレスブレーキ用安全システム、また福祉機器に対する挟まれ防止対策や、食品加工作業に対する設備対策と切創防止用保護手袋について紹介しました。
(6) 共同実験棟・VR実験室
次の2件の実験デモを行いました。⑥『車両系の機械を対象としたシミュレーション装置』
ドラグ・ショベルなど車両系の機械作業時に、転落及び接触などの危険事象や、関連する安全装置について、シミュレーション装置の立体視動画像を用いて解説しました。また、倉庫中のフォークリフト荷役運搬作業をシミュレーション装置を用いて実演しました。
⑦『脚立上での作業姿勢の計測と評価』
脚立上の作業者の姿勢を計測する装置の説明と実演を行いました。また、脚立の使用が原因となった労働災害の実態と、特に災害の多い作業中の事故について解説しました。
(7) 配管等爆発実験施設・中規模爆発実験室
⑧『マグネシウム合金粉の火災と爆発』携帯電話やノートパソコンの外装材として使われているマグネシウム合金について、その特性と燃焼危険性、災害調査の方法について説明しました。また、模擬実験として、初めに粉じん爆発を体験していただき、その後堆積した粉じんの燃え拡がりにおける水の影響の違いを観察していただきました。
(8) 電気安全実験棟・粉体帯電実験室
次の2件の実験デモを行いました。⑨『粉じん爆発の原因となる静電気放電の防止対策』
実規模の粉体空気輸送設備において粉体が帯電し発生する静電気放電の様子や、その環境下における除電器による放電抑制効果について、ビデオでご覧いただきながら解説しました。また、簡単な静電気放電を体験していただきました。
⑩『大型クレーンのAM放送波による電波障害対策』
大型クレーンがAM放送送信所の近くで使われるときの過負荷防止装置への影響やフック部に誘起する高電圧について紹介しました。また、これらの電波障害を軽減する方法について現場実験を通じた結果についても紹介しました。
(9) 本部棟1階・第2会議室
次の2件の研究紹介とポスター展示を行いました。
⑪『化学反応の危険性評価と爆発現象の実証』
反応性が高い化学物質が発生する反応熱量及びその反応熱が放出される速度を適切に評価するための研究の意義、方法についてポスターで解説いたしました。また、規模を大きくした爆発現象の実証試験の様子をビデオで紹介しました。
⑫『調理と労働衛生』
登戸地区からの出張展示としてポスターを1点出しました。業務用調理器具から発生する有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素、二酸化窒素)の発生量と、それに基づいて算出される基本必要換気量をお示しし、現行法規が定める必要換気量との関係についても説明しました。
⑬『昔の労働安全衛生のポスター展』
国内外の労働安全衛生運動の貴重な史料として、当研究所で蒐集した労働安全衛生ポスター40枚を展示しました。来場者の中には、写真に撮られている方もおられ、皆さん熱心に鑑賞されていました。
おわりに
平日にもかかわらず、本年度も多数の方々にご来場いただきました。この公開を切っ掛けに、当研究所の業務をご理解いただくとともに、私どもの研究成果を職場の安全活動にご活用いただければ幸いです。
今回、多数の来場者を想定して、ご来場者を分散するようにデモ実演スケジュールを設定しましたが、公開施設内に入りきれない場合や説明音声が聞こえにくい場合がありました。誠に申し訳ございませんでした。その他、アンケートでいただいた貴重なご意見と合わせて、来年度の一般公開では改善する所存です。
最後に、本年度の清瀬地区一般公開の内容については当日配布させていただいたパンフレットにも概要を記載しております。ご来場できなかった方は下記のURLからご覧ください。
https://www.jniosh.johas.go.jp/announce/2015/open2015/pdf/H27kiyose_pam.pdf
(機械システム安全研究グループ 池田博康)