労働安全衛生総合研究所

新人紹介

有害性評価研究グループ   松尾 知明(まつお ともあき)


写真:新入研究員「松尾知明」
 平成25年4月1日付けで有害性評価研究グループに任期付研究員として着任いたしました。筑波大学体育専門学群を卒業後、企業勤務を経て、平成20年に博士(スポーツ医学)を取得しました。その後、学術振興会特別研究員(筑波大学所属)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)プロジェクト研究員を経て、現在に至っております。
 筑波大学では、自治体等の健診データを用いたコホート研究、肥満者やメタボリックシンドローム(MS)該当者を対象とした介入(運動・食事)研究など、主に肥満者の体重・健康管理に資する研究に取り組みました。また、JAXAでは、微小重力環境で体力が著しく低下する宇宙飛行士、あるいは身体活動が不活発な状況(身体不活動)に陥りやすい忙しい現代人のための“時間効率の良い運動(エクササイズ)方法の開発”に資する研究に取り組みました。
 現代人の多くは身体不活動が誘発される環境にばく露されており、肥満やMSに陥りやすい社会で生活しています。特にデスクワーク中心の労働者では生活習慣病≒職業病と言える面もあり、このような環境は健康寿命延伸の妨げになる可能性があります。しかし職場環境での身体活動の多寡が、循環器疾患、代謝性疾患、精神疾患などにどの程度影響するのか(あるいはしないのか)については十分明らかとなっていないのが実情であり、今後の重要な研究テーマとされています。また、肥満やMSの予防・改善には、運動と食事改善を組み合わせた介入が効果的ですが、多くの労働者はそれに費やせる時間は限られており、時間効率を考慮しない方法は例え効果があっても実用的ではありません。
 このような社会的背景に鑑み、私は(1)職場環境での身体不活動を有害因子と仮定し、そのリスクを明らかにすること、(2)肥満やMSの予防・改善に向けて、現代社会に生きる労働者に適した効率的、効果的な介入方法を提案することを目的とした研究に、疫学的手法を用いてアプローチしたいと考えております。労働安全衛生研究の進展に少しでも貢献できるよう、努力する所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
(所属学会:日本産業衛生学会、日本体力医学会、日本肥満学会、日本公衆衛生学会、日本宇宙航空環境医学会、日本健康支援学会)


化学安全研究グループ   佐藤 嘉彦(さとう よしひこ)


写真:新入研究員「佐藤嘉彦」
 平成25年4月1日付けで化学安全研究グループに任期付研究員として着任いたしました。これまでは動力炉・核燃料開発事業団や独立行政法人産業技術総合研究所などに所属し、化学物質・反応の放出エネルギーに関する潜在危険性評価手法に関する研究を行ってきました。また、そのコア技術に関連して様々な化学プロセスで取り扱われる化学物質・反応における未知の発火・爆発危険性に対しての評価研究にも取り組んできました。
 爆発火災事故を未然に防止し労働災害を減らすためには、取り扱う化学物質・反応の持つ危険性を事前に評価しておくことが必要不可欠であり、これまでに発火・爆発危険性評価手法は着々と整備されてきました。今後の要求として、研究開発初期段階の少量の試料でも精度よく危険性が予測できる評価法が望まれています。現在使われている少量の試料を用いての危険性評価手法には、危険性予測のための重要な因子である反応熱量や反応速度を把握する上での課題がいまだに残されており、危険性予測の精度を上げるためには、これらの課題の解決が不可欠です。
 このような要求に応えるべく、発火・爆発危険性評価に関する新たな手法の開発やこれまでの評価手法の適正化を行っていくことにより、化学物質・反応による爆発火災災害を防止し、労働安全の更なる向上に寄与していきたいと思います。今後とも皆様の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
(所属学会:安全工学会、火薬学会、日本化学会、日本原子力学会)

刊行物・報告書等 研究成果一覧