第4回アジア労働安全衛生研究所会議(AOSHRI-Ⅳ)に参加して
9月初旬、マレーシア・セランゴールにあるSunway Pyramid Convention Centreで開催された第4回アジア労働安全衛生研究所会議(AOSHRI-IV)に出席してきました。そもそもアジア労働安全衛生研究所会議は2004年に当研究所(統合前の産業医学総合研究所)が各国の研究機関を招聘して日本で開催したものです。当時私は、会議の運営スタッフとして朝早く起きて諸外国の来訪者をホテルまで迎えにいったのを覚えています。今回参加することになったのは、そのような過去の経験をかわれてのことだったのかもしれません。その後、2007年に第2回が韓国で、さらに2009年に中国で第3回が開かれています。そして、今回はマレーシアでの開催で、参加者は10か国29名でした。2004年時には日本を除くと8つの国・地域から16名の参加でしたから規模も大きくなりました。日本からは前田理事長、豊澤安全研究領域長、澤田国際情報・研究振興センター長及び私が参加しました。
なお、今回は第15回マレーシア労働安全衛生会議(COSH2012)という大規模集会との共同開催という形で行われました。COSHはマレーシア国内でマレーシア国立労働安全衛生研究所が中心となって毎年開催されていますが、この会議は日本でいえば中央労働災害防止協会主催の全国産業安全衛生大会に似ており、所管のMinistry of Human Resources(人材省)の大臣や労働安全衛生局長も出席し、行政の強力なバックアップの下で運営されていました。
開会式では、冒頭で人材省の大臣S・Subramaniam博士が挨拶の後、職場における労働安全衛生の重要性について講演され、終了後記念撮影を行いました(写真1)。
会議では、まず中国、韓国、日本の順でここ数年間における労働災害の推移や研究活動状況を報告しました。その後、参加10か国すべてからの実情報告と討論が行われました。アジアの労働安全衛生といっても各国の国内事情が反映されています。中国や韓国は急激な産業構造の変化により、例えば肺疾患や騒音性難聴のような、労働災害が増加しているようです。シンガポールは環境保護に力を入れている関係でグリーンエコノミーが盛んですが、例えばリサイクルの過程で発生する化学物質による複合的アレルギー疾患といった、特有の労働災害が発生しています。タイでは鉛汚染の調査、病院でのガスその他の化学物質へのばく露の他、農業関連労働者のために井戸から生ずる有害ガスの調査にも力を入れています。また、カンボジアは長く政情が不安定であったため法整備さえ不十分の状態です。労働安全衛生面での国際協力はこれから更に重要性を増すものと思われます。また、「気候変動」に関する共同研究等が提案されました。さらに次回の会議は3年後シンガポール開催となることが決まりました。(写真2)
会議終了後、企業訪問の機会を設けていただき、Sime Darby Jomalina Sdn Bhd社の工場を訪問し、労働安全衛生に関する取り組みについて説明を受けました(写真3)。この工場はパーム油などの植物油を製造する工場で、作業者が倒れたとき等の緊急時にどう対応するかをビデオにまとめて見せていただき、非常に参考になりました。
マレーシアでは宗教的な関係でアルコールを飲めませんでしたが、彼らも参加者もみな親切でまじめな人たちばかりでした。また、クアラルンプール市内は夕方交通渋滞がひどく、まるで日本と変わりありません。日本に帰ってきたら、なんとクアラルンプールより暑い。日本でも、バナナやマンゴの栽培ができるのではないかと思いました。
なお、今回は第15回マレーシア労働安全衛生会議(COSH2012)という大規模集会との共同開催という形で行われました。COSHはマレーシア国内でマレーシア国立労働安全衛生研究所が中心となって毎年開催されていますが、この会議は日本でいえば中央労働災害防止協会主催の全国産業安全衛生大会に似ており、所管のMinistry of Human Resources(人材省)の大臣や労働安全衛生局長も出席し、行政の強力なバックアップの下で運営されていました。
開会式では、冒頭で人材省の大臣S・Subramaniam博士が挨拶の後、職場における労働安全衛生の重要性について講演され、終了後記念撮影を行いました(写真1)。
会議では、まず中国、韓国、日本の順でここ数年間における労働災害の推移や研究活動状況を報告しました。その後、参加10か国すべてからの実情報告と討論が行われました。アジアの労働安全衛生といっても各国の国内事情が反映されています。中国や韓国は急激な産業構造の変化により、例えば肺疾患や騒音性難聴のような、労働災害が増加しているようです。シンガポールは環境保護に力を入れている関係でグリーンエコノミーが盛んですが、例えばリサイクルの過程で発生する化学物質による複合的アレルギー疾患といった、特有の労働災害が発生しています。タイでは鉛汚染の調査、病院でのガスその他の化学物質へのばく露の他、農業関連労働者のために井戸から生ずる有害ガスの調査にも力を入れています。また、カンボジアは長く政情が不安定であったため法整備さえ不十分の状態です。労働安全衛生面での国際協力はこれから更に重要性を増すものと思われます。また、「気候変動」に関する共同研究等が提案されました。さらに次回の会議は3年後シンガポール開催となることが決まりました。(写真2)
会議終了後、企業訪問の機会を設けていただき、Sime Darby Jomalina Sdn Bhd社の工場を訪問し、労働安全衛生に関する取り組みについて説明を受けました(写真3)。この工場はパーム油などの植物油を製造する工場で、作業者が倒れたとき等の緊急時にどう対応するかをビデオにまとめて見せていただき、非常に参考になりました。
マレーシアでは宗教的な関係でアルコールを飲めませんでしたが、彼らも参加者もみな親切でまじめな人たちばかりでした。また、クアラルンプール市内は夕方交通渋滞がひどく、まるで日本と変わりありません。日本に帰ってきたら、なんとクアラルンプールより暑い。日本でも、バナナやマンゴの栽培ができるのではないかと思いました。
(有害性評価研究グループ 上席研究員 大谷 勝己)