労働安全衛生総合研究所

第二題:WHOへの貢献

 旧産業医学総合研究所時代の1977年に、労働衛生分野では日本で最初にWHO協力センターの指定を受けたものの、しばらく当該活動が停滞していました。しかし、WHOの第一期世界ネットワーク作業計画(2001-2005年)から積極的に参画し、「けい肺の撲滅」、「小規模事業所の労働安全衛生」、「インターネット資源とネットワーク」のテーマで多大な成果を上げました。第二期世界作業計画(2006-2010年)でも、「保健医療従事者の安全衛生」、「作業関連疾患のWEBサーベイランスシステム」、「中小企業の安全衛生マネジメントシステム」のテーマで引き続き参画し、2007年4月にWHO労働衛生協力センターの再指定を受けました。

 WHOは2007年の総会決議と翌年の労働衛生協力センターネットワーク計画委員会の決定により、第二期作業計画を変更して2009年から新たに5目標14優先課題からなる世界活動計画(GPA)を開始しました。この時、これまで参画してきた安衛研の上記3テーマはその14課題の中に組み込まれました。2009年10月にジュネーブで開かれた第8回WHO労働衛生協力センターネットワーク総会でGPAの今後の展開を協議した際に、14優先課題の中の「ナノ粒子と気候変動を含む新たな労働衛生上の課題に対する実践研究」と「職場の物理因子のリスク評価と管理のための実践ツールキットの開発」に対しても安衛研として新たな貢献の可能性を表明し、現在その構想を練っているところです。このようなWHOへの積極的関与と貢献により、労働安全衛生研究のグローバルネットワークと連携して世界規模での情報の収集と発信をリアルタイムで行うことが可能になるはずです(https://www.who.int/health-topics/occupational-health)。

模式図:WHO労働衛生協力センターのグローバルネットワーク
第8回WHO労働衛生協力センターネットワーク総会

(澤田晋一 国際情報・研究振興センター長)

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