労働安全衛生総合研究所

働く人の安全に関する研究施設(清瀬地区) 平成22年一般公開を終えて

 平成22年度一般公開(清瀬地区)は、4月21 日(水)の13:30-16:30に行われました。236名のお客様においでいただき、無事終了いたしました。
 平日の開催ということもあって、清瀬地区では例年、企業の方々、大学等研究機関の方々の参加者がほとんどで、近隣住民の方々の参加は少ないのですが、今年は天候に恵まれたこともあって、多くの近隣住民の方がおいで下さいました。

 ご覧いただいたテーマは、15種類で、清瀬地区にある6つのグループからそれぞれ出し合いましたので、バリエーション豊富なテーマ構成になりました。各グループで出したテーマについて簡単にご紹介いたします。

 機械システム安全研究グループでは、多くの機械に使われている金属の疲労破壊の原因を、見学者に電子顕微鏡を覗いて確認してもらった他、ダミー人形やボール盤、プレス機械等を用いた災害の実演実験等を行い、それを防ぐための安全制御技術の紹介を行いました。

写真:金属の疲労破壊面の観察
未来のエジソン君たちが電子顕微鏡を覗く

写真:プレス機械災害の実演実験
ダミー人形と一緒に災害疑似体験

 建設安全研究グループでは、時々ニュースを賑わしてしまうクレーン車の転倒災害に関する研究を実験用の模型やビデオを用いて説明したり、地震被害を受けた木造住宅への立入制限等に関する研究を実大6畳間の試験体を目の前にした説明をしたり、建設現場で使われる足場の安全設計に関する研究やヘルメット等の直接人間を守るための用具に関する研究を紹介しました。

 化学安全研究グループでは、主に爆発による災害の研究をしていますが、今回は、燃えていないのに爆発するという現象に関する説明と、皆さんの身の回りにあるスプレー缶の爆発実験の実演を行い、実は身近に危険が潜んでいるということを説明しました。

写真:爆発のパネル展示
消防署員も興味津々

 電気安全研究グループでは、主に静電気の研究をしています。静電気といっても「バチッ」とくるだけのものではありません。実は静電気が爆発災害の着火源となることが多いのです。また、爆発というとすぐにガス爆発を想像しませんか?今回は、粉体爆発といって粉が爆発する原因とそれを防止するための技術を実験やビデオで紹介しました。

 人間工学・リスク管理研究グループでは、労働者の転倒災害に関する研究を、ビデオを用いてご紹介いたしました。人間がつまづいたりしてバランスを崩した時には、体がふらつきますが、その特徴を年齢や性別などに応じた分析を行なっております。見学者の方も、自分の生活に密接する問題だけに興味深げに話しを聞いていました。

 作業条件適応研究グループでは、人間工学・リスク管理研究グループと協力して、人工気象室における研究を紹介いたしました。サーマルマネキンを用いた指標の計測及び表面温度計測法の説明や、職業性熱中症予防のための被験者実験について解説を行いました。体験コーナーでは、ファンによる空冷服、空冷ベスト等を見学者に着ていただき、空冷服が意外に涼しいというコメントを頂きました。

 ここで御紹介したテーマは、当日ご説明した内の一部であり、専門家とは、より突っ込んだ議論が白熱していました。専門外の方には、「何でこんな研究をしているの?」という疑問から、「どうすれば、事故を防げるの?」といった一連の目的をかみ砕いて説明するように、研究員一同努力しました。また、特殊な装置や機械には、直接触って、試していただいたりして終始和やかな雰囲気のなか見学や体験が行われていました。

 最後に反省点として、テーマが多すぎるため、どこから何を見たら良いのか分からないというお客様もいらっしゃいました。そのようなお客様に対しても、スタッフ一同は誠心誠意ご協力しましたが、至らない部分も多々あったと思います。次回からは、お勧めメニューを用意して、より快適な見学ができるよう皆様の御来場をお待ちしております。

 なお、一般公開は年1回4月に実施しており、次回も当ホームページ等でご案内いたします。またのお越しをお待ちしております。

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