労働安全衛生総合研究所

新人紹介

国際情報・研究振興センター 北條 理恵子



 平成21年4月1日付けで任期付き研究員として着任いたしました。ラットやマウスなどのげっ歯類等の実験動物を用いて、化学物質の曝露と高次脳機能障害との関係を調べております。労働現場において健康影響が懸念される化学物質を動物に曝露し、その後の高次脳機能(主に記憶・学習行動)がどのように変化するのかを、様々な行動試験により様々な指標を用いて調べております。行動試験終了後には脳を採取して標本を作製し、化学物質曝露によりダメージを受けた行動と変容した脳の局在との関連を明らかにすることも試みています。
 作業環境の改善に伴い、重篤な機能障害を引き起こすとされる高濃度の化学物質曝露というよりも、近年は低濃度の化学物質による長期間曝露の影響がより懸念されています。その結果として、緩慢で徐々に顕在化する部分的な機能障害のリスクを評価する必要性が高まっています。詳細な行動分析と脳の組織解析により、微細な機能変化を早期に多面的に捉え、迅速に機能回復を図る手続き手法(機能回復訓練)の開発につながる知見を集めていきたいと思っております。動物実験での成果を労働者の健康と安全の向上のため活かしていくことを最終目標としています。
 また、国際情報・研究振興センターに所属し、国際的なワークショップ等の開催運営にも関わっております。国際的な研究活動も視野に置き微力ながら邁進していく所存です。皆様の御指導、御高配を賜りますようお願い申し上げます。


作業条件適応研究グループ 井澤 修平



井澤 修平

 平成21年4月1日付けで作業条件適応研究グループに着任いたしました。心理学分野の中でストレスをテーマとした研究活動を今まで続けてきており、特に心理社会的ストレスと心筋梗塞の関連について研究を行ってきました。また最近ではコルチゾールなどに代表される唾液中のストレスバイオマーカーの研究を行っており、ストレスの客観的評価の方法としての確立を考えています。
 労働現場ではメンタルヘルスやストレス関連疾患が一つの大きな問題となっています。今までの基礎的な知見をメンタルヘルスの問題や疾病予防、最終的には、労働者の安全や健康に生かしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。


健康障害予防研究グループ 山口 さち子



山口さち子

 平成21年4月1日付けで健康障害予防研究グループに任期付き研究員として着任致しました。博士課程では東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座において、パルス電磁場(磁気刺激)の腫瘍増殖抑制効果に関する研究で学位を取得しました。平成20年度からはフランスCEA(原子力庁)NeuroSpin研究所と共同で,超強磁場MRIの生体安全性評価に取り組んだことが契機となりまして、着任後の研究課題である「作業環境中の物理的因子の健康影響評価」の対象として、強磁場環境下で作業を行うMR検査作業に着目し、研究を進めております。
 日本では職業的磁場ばく露の法的規制はありませんが、働く方々から電磁場ばく露に対する潜在的な関心の高さを感じることが多々あります。今後このようなニーズに対し、現在取り組む研究課題を通して適切な情報を提供していきたいと思っております。至らぬ点も多々あるかと思いますが、皆様より御指導、御高配を賜りますよう、お願い申し上げます。


有害性評価研究グループ 坂本 龍雄



 昨年10月から任期付き研究員として勤務しています。50歳を過ぎ、心身ともに無理がきくのはあと10年だと思い、小児科医師・アレルギー研究者の経歴を捨て、労働衛生の発展に寄与しようと一念発起しました。16年間、名古屋大学小児科教室に在籍していましたが、診療の傍ら、シックハウス症候群の病態解明に関連して室内空気汚染物質(揮発性有機化合物、微生物由来免疫活性物質、真菌など)の小児に対する健康影響や、動物モデルを用いての基礎実験を行ってきました。ここで培った経験を生かしたいと思います。
 21世紀も既に10年が過ぎました。「21世紀の労働衛生研究戦略」でうたわれている「21世紀の日本では、すべての勤労者が、身体的・精神的・社会的に良好な状態を維持・増進でき、安全で健康的な職場環境において、その労働能力を最大限に発揮し、生き甲斐と満足感を持って働ける社会の実現が求められる」との目標の実現を皆様とともに目指す所存です。
 出生地は伊勢市、名古屋近郊の扶桑町に妻子を残し、平1丁目のアパートから神木山を越えて毎日出勤しています。御指導、御支援をよろしくお願いいたします。


建設安全研究グループ 吉川 直孝



吉川直孝

 平成22年1月から、研究員として勤務しております吉川と申します。研究テーマは、トンネル施工時に発生する労働災害の統計的分析およびトンネル掘削における地盤の安定性に重点を置いた調査・実験・解析を行っています。他にも、斜面崩壊などの災害復旧工事中の労働者の安全、落石対策用の斜面上の杭の安定、建設機械に起因する労働災害について調査・研究を行っています。
 前任地のNew ZealandのUniversity of Aucklandでは、その地特有の軽石や残留土について研究を行っていました。New Zealandの生活や仕事はのんびりとしていて、日本に帰国して皆様の働きぶりに驚くとともに、日本の仕事に対する意識の高さに改めて感銘を受けているところです。New Zealandにご訪問される際は、一声掛けていただければ、おすすめのスポットや現地の友人をご紹介できると思います。
 これから日本はもちろんのことアジア・オセアニアや世界の労働者の安全衛生の向上のために貢献したいと思います。よろしくお願いします。

刊行物・報告書等 研究成果一覧