介護者のための腰痛予防マニュアル 〜安全な移乗のために〜

3.移乗のための介護機器

1) スライディングボード、スライディングシート

 介護サービス利用者が座った姿勢を保てるときには、スライディングボードやシートがたいへん役に立ちます。利用者がおしりをすべらせることができれば、少ない力で無理なく介助できます。

スライディングボードを使っての車いすへの移乗介助イメージ
スライディングボードを使っての車いすへの移乗介助

2) リフト

 介護サービス利用者を「持ち上げ」なければ移乗できない時には、リフトを使いましょう。人を持ち上げる作業は、人の手で行う限りどのような方法でも腰痛を引き起こす危険があります。
 メーカーや業界団体で開催している講習会などを受け、自己流ではなく、安全で快適な使い方をマスターしましょう。

ベッドからの移乗手順イメージ
ベッドからの移乗手順

(a)リフトの種類

● 移動式リフト
 吊り具を使って人を持ち上げ、目的の場所までキャスターで移動します。

移動式リフトイメージ


● 設置式リフト
 浴室やベッドなどに固定して、そばに置いた車いす、トイレなどへの移乗を行います。

設置式リフトイメージ

● レール走行式リフト
 柱で移動用のレールを支えるリフトで、部屋の中を自由にどこにでも移動できるもの(面移動型)と、決まった場所を往復するもの(線移動型)があります。
レール走行式リフトイメージ

(b)吊り具の選択

 介護サービス利用者の体格や使う目的にあった吊り具を選ぶことが大切です。吊り具が小さいと吊ったときに体を圧迫しますし、大きすぎるとずり落ちることがあります。

シート型イメージ 脚分離型イメージ セパレート型イメージ
シート型
安定感があります。
脚分離型
座ったままでの着脱が可能です。
セパレート型
入浴やトイレに適しています。