介護者のための腰痛予防マニュアル 〜安全な移乗のために〜

腰痛の原因



 介護作業では、介護を受ける人(介護サービス利用者)を前かがみや中腰姿勢などで持ち上げたり、支えたりすることが多く、介護者の腰、腕、肩などに大きな負担がかかります。なかでも、下図のような移乗介助は、そうした動作や作業姿勢で行うため、腰痛などの筋骨格系障害※1を発症させる原因となっています。
 介護作業での腰痛は、主に腰の筋肉の疲労がたまって起きると考えられます。腰の筋肉を使いすぎると痛みが生じ、その痛みのために筋肉が緊張してさらに痛みが強まります。筋肉の緊張が長く続くと、ある動作が引き金となり、「ぎっくり腰」と言われる急性腰痛症を引き起こすことにもなります。



1人での抱きかかえは、不安定で危険です。

2人で抱きかかえていても、前傾や中腰姿勢では腰への負担は大きくなります。

床からの持ち上げは、腰に大きな負担となります。

体の大きな人の移乗では、全体に過度の負担がかかります。

お風呂場では滑りやすく、バランスを崩し、とっさに力がはいって腰を痛めます。

※1
筋骨格系障害とは、腕、肩、首、腰などの筋肉、腱や関節が疲労・損傷し、こり、だるさ、痛みやしびれなどを感じる疾患です。