介護者のための腰痛予防マニュアル 〜安全な移乗のために〜

腰痛の予防

介護機器と腰痛

腰痛を防ぐには、適切な介護動作を身につけ、腰にかかる負担を減らす必要があります。しかし、それだけでは腰痛を予防できません。

 欧米のガイドラインマニュアルでは、移乗介助の際にリフトやスライディングボードなどの介護機器を使うことが推奨されています(下図)。米国では、介護機器を導入する前には、腰痛などの筋骨格系障害者数は多かったのですが、導入後は減少しました。


米国労働安全衛生庁
(OSHA)

米国国立労働安全衛生研究所
(NIOSH)

英国安全衛生庁
(HSE)

 日本における調査でも、リフトやスライディングボードなどの介護機器を積極的にとりいれている施設では、ベッドと車いす、ベッドとストレッチャー、車いすとストレッチャー間での移乗において、腰への負担が小さい傾向にありました。しかし、日本では介護機器を導入している施設自体が少なく、また機器があってもあまり使用されていないようです。


リフト、スライディングボード/シートの導入率と使用率

  リフト スライディングボード/シート
■介護施設などへの導入率 18% 24%
■導入介護施設などでの使用率 40% 33%
※2005年7月〜10月に592事業所、4,754名を対象に実施したアンケート結果調査(安衛研、滋賀医大)