労働安全衛生総合研究所

公開が始まった爆発火災データベースの御紹介

1.はじめに


 労働災害の再発防止や災害防止技術の発展に当たって、過去の労働災害事例を調べることは、災害要因や特徴を明確にすることができ、大変有用なことです。
 このような観点から、独立行政法人労働安全衛生総合研究所では、長年にわたり労働災害に関する資料を収集し、災害事例データベースを運用してきました。さらに、「爆発」「破裂」「火災」「高温物」に分類された事例については、歴代の研究員が事故情報を要約して、発生原因や原因物質などの項目を備えた要約データベースを運用し、研究用の資料として利用してきました。
 このデータベースを利用して得られた分析結果については、報告書や学会での口頭発表で公開してきましたが、その度に「データベース本体を利用することができるのでしょうか?」との質問を受けてきました。
 そこで、最近の事故情報を積極的に公開していこうという機運を受け、一般向けのデータベースとして本年6月末に公開を始めました。

2.データベースの原資料


 本データベースは、労働災害が起きた際に労働行政が作成する資料を主たる資料とし、厚生労働省あるいは災害防止団体が公表した資料を補助的に用いています。
 したがって労働災害ではない事例、例えば一般住民や個人事業者、公務員のみが死傷した場合の事例、あるいは死傷者がなく損害が軽微であった事例は、原則として対象としていません。現在の研究用データベースは1955年以降に発生した事例約5700件(2012年8月現在)を収録していますが、第1次の今回は、1985年から2001年までの1251件を公開しました。今後、記載内容の確認が済み次第、順次事例を追加・公開していきます。

3.データベースの情報項目


 公開したデータベースに収録した情報の一例を下表に示します。項目の内容は、大小比較ができる数値項目が3種類,単語が数語までの短い日本語に対応する単語項目が8種類,自由な文章に対応する文章項目が1種類です。なお、業種の分類には日本標準産業分類を利用しています。

表:公開したデータベースに収録した情報の一例

4.データベースの公開場所


 データベースは、当研究所のホームページ内で公開しています。下記URLをクリックするか、「労働安全衛生総合研究所」と「爆発火災データベース」のキーワードでWEB検索してみてください。

爆発火災データベースの公開(第1次)


URL: https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/houkoku.html

5.データベースの公開方式


 現在Web上で提供されるデータベースは、利用者が「期間」や「キーワード」などの検索条件を入力し、提供サイトから検索条件に合致する事例のみが表示される方式が主流です。しかし,本データベースでは、収録したデータ量が膨大ではないことと利用者の便宜を図るため、Excel形式のデータファイルをまるごとダウンロードする方式としています。
 すなわち、いったんデータファイルを手元のコンピュータにダウンロードすれば、WEBに再接続する必要がなく、またすべての事例を横断的に眺めることもできます。さらに他のソフトウェアにデータを移してデータを利用することも可能です。

6.事例の検索・抽出方法


 当研究所が提供する電子ファイルはExcel形式のデータファイルのみです。このデータベース用の検索プログラムは配布していません。
 目的とする事例の検索・抽出に際しては、例えば、Microsoft Excelにもともと備わっている「検索」機能と「フィルタ」機能を利用してください。
 最も簡単なのが「語句」か「記述」を指定した「検索」です。「ホーム」タブの「検索」またはCtrl+Fを押すと開く検索ウインドウ内に「語句」や「記述」を打ち込み検索ボタンをクリックすれば、該当箇所が表示されます。「語句」や「記述」の指定にはワイルドカードの「?」(任意の1文字)や「*」(任意の1文字以上の文字)も使用できます。
 該当する事例のみを抽出して表示させるには、Excelの「フィルタ」機能を使用してください。「フィルタ」機能はデータファイルに設定してあります。
 Excelの「検索」及び「抽出」の具体的な操作方法については「事例の検索と抽出方法の解説」を用意してありますので、併せて御覧ください。

7.利用上の御注意


 本データベースの利用に当たっては、利用者登録や費用は必要なく、どなたでも無料で御利用になれますが、下記の点に御注意をお願いいたします。
  1. 当研究所は、利用者が本データベースを用いて行う一切の行為について、何ら法的義務及び責任を負うものではありません。
  2. 本データベースの再配布はしないで下さい。
  3. 本データベースを利用して口頭発表、論文等の学術発表をする場合、あるいは、専門誌や雑誌等に記事を公表する場合には、「労働安全衛生総合研究所爆発火災データベース」並びに本ホームページのURLを参考文献として記載してください。
  4. 予告なく、データベースの更新や修正を行うことがあります。
  5. 御質問、御意見、あるいは御要望につきましては、当研究所ホームページの「お問い合わせ」のページより御連絡下さい。
[お問い合わせのページ]URL: https://www.jniosh.johas.go.jp/rule/contact.html

(化学安全研究グループ 上席研究員 板垣 晴彦)

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