労働安全衛生総合研究所

第一題:国際学術誌と和文誌の編集発行

 労働衛生分野の国際学術誌として日本で最も歴史のあるIndustrial Health誌は1963年に創刊されました。当初から年4回発行され,国内外の労働衛生の最先端の研究情報を提供してきましたが、近年の投稿数と掲載数の大幅な増加に鑑み、また迅速な研究情報の提供を図るために、発行回数を2007年から年6回に増やしました。同年秋には安衛研ホームページ(https://www.jniosh.johas.go.jp/en/indu_hel/index.html)のみならず、J-STAGE(http://www.jstage.jst.go.jp/browse/indhealth/-char/ja/)で創刊号から最新号までの全論文の無料閲覧を実現させました。発行回数を年6回に増やしても、論文投稿が増加し受理論文が増えると掲載が遅れがちになります。せっかく受理されたすぐれた論文が速やかに読者の目に触れられない事態を回避すべく、J-Satgeにおいて受理論文の早期公開を今年の7月から開始することになりました。

 学術雑誌の引用頻度の指標であるインパクトファクターも、1989年に1.129に最高値を記録して以後10年以上にわたり長期低迷状態を続けていましたが、2005年以後は0.7以上を維持し(2005年:0.741、2006年:0.911、2007年:0.792、2008年:0.745)、今年発表されたばかりの2009年の最新値は、これまでで最高の1.215を記録しました。年2回時宜を得た労働安全衛生トピックスの特集号と毎号国内外の著名な有識者の執筆によるEditorialは、本誌を読み応えあるものにしています。

 以上の結果として、Industrial Health誌は、現在安衛研が国際的レベルで注目され高い評価を受ける牽引役となっているといっていいでしょう。

 一方、国内の労働安全衛生研究の振興を図るために、わが国最初の労働安全と衛生を統合した和文学術誌「労働安全衛生研究」を2008年に創刊しました(年2回発行)。主として国内における労働安全衛生に関する最新の調査研究情報を提供していますが、研究所ホームページでも無料閲覧できます(https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/research.html)。

写真:国際学術誌と和文誌

(澤田晋一 国際情報・研究振興センター長)

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