任期付研究員として採用された先輩の声:登戸地区(労働衛生分野)

任期付き研究員として採用された研究員は、審査を経て任期を付さない研究員として新たに採用された後も、公私ともに様々な経験を積み、現在、以下にご紹介するように様々な分野で活発な研究活動を行っています。
化学物質情報管理研究センター化学物質情報管理部 研究員 緒方 裕子(ゆうこ)
令和4年に任期付き研究員として採用、令和7年に任期を付さない研究員として採用
私は令和4年に3年間の任期付き研究員として入所し、パーマネント審査を経て今年で在職4年目を迎えました。私は主に、化学物質の自律的な管理の普及に向け情報学的な側面から研究を行っています。大学、大学院では生理活性物質の有機合成を行い、博士課程在籍中に2人出産しました。当時参加していた学内の教育プログラムがコーディネートした産学連携インターンシップで1カ月間、机上調査の終えたテーマの検証実験に取り組み内定を得、卒業後、川崎臨海工業地帯にある化学メーカーで4年間光硬化性樹脂の添加剤に関する研究開発に従事しました。化学物質管理の多岐にわたるルールを遵守することに多少の煩わしさを感じながら何の気なしに長年化学物質を扱ってきた私でしたが、入所直後に上長から手渡された職業病図譜(久保田重孝編,
中央労働災害防止協会,
1979)を読み終えた時、管理の在り方の礎となられた方々へ合掌するとともに身の引き締まる思いがしました。今後も当研究所に整備されている柔軟な勤務形態等を利用しワークライフバランスを保ちながら、化学物質管理に資する情報の発信をしていきたいと思っています。
化学物質情報管理研究センターばく露評価研究部 研究員 緒方 裕子(ひろこ)
令和3年に任期付き研究員として採用、令和6年に任期を付さない研究員として採用
私は、令和3年9月から任期付研究員として労働安全衛生総合研究所に入所し、令和6年9月に任期を付さない研究員として採用され、現在に至ります。研究所に入所するまでは、主に大気環境分野でエアロゾルの研究を行っており、山岳域や森林域、都市域など様々な地点で観測を行ってきました。また、粉じん計など労働衛生分野で使用される機器に関する仕事にも携わった経験があり、研究所に興味を持ちました。入所後は、労働環境中のエアロゾルの分析方法の検討や、様々な模擬作業や労働現場でエアロゾルの測定などを行っております。研究所にはエアロゾルの測定機器や化学分析機器が充実しているため、これまでに使用したことのない分析機器についても悪戦苦闘しながら使用方法を学んでおります。また、実際に労働現場で測定を行う際には、工場や作業員の方にご協力いただくため、装置の不具合や測定不備がなるべく出ないよう入念に測定準備を行うとともに、何かトラブルがあった際にも柔軟に対応できるよう心がけております。
労働衛生分野は法律とも密接に関連しており、幅広い知識が必要とされていることを日々実感しております。今後も様々なことを学びながら、研究の幅を広げていきたいと考えております。
産業保健研究グループ 主任研究員 西村 悠貴
令和2年に任期付き研究員として採用、令和4年に任期を付さない研究員として採用
※平成31年に特定有期雇用職員(研究職)として採用
私は博士課程を修了後、平成31年に過労死等防止調査研究センターの特定有期雇用職員として入所し、その後の2年間を産業保健研究グループの任期付き研究員として過ごしました。現在は、産業保健研究グループと過労死等防止調査研究センターの両方で、ハラスメントや夜間交替勤務、過重労働などに関する研究を行っています。私は大学で脳波を使った実験心理学や生理人類学を専攻していました。労働衛生や公衆衛生学の分野といったバックグラウンドを持たない状態で採用されましたが、様々な分野の先輩方にご指導いただいて研究の幅を広げることができたと思います。労働安全衛生総合研究所は社会や行政との距離が近いので、当研究所への就職は研究と社会のつながりを改めて意識することにもつながりました。自身の研究を具体的な社会課題と結び付けたいと考えている方や、自分の研究の幅をもっと広げたいと考えている方に、特に良い職場だと思います。ご参考になれば幸いです。
環境計測研究グループ 主任研究員 高谷 一成
平成31年に任期付き研究員として採用、令和4年に任期を付さない研究員として採用
私は、平成31年4月から任期付き研究員として労働安全衛生総合研究所に着任し、令和4年に任期のないパーマネント研究員として採用され、現在に至ります。私は大学・大学院で原子物理学を専門として、分析装置の開発研究を行ってきました。その後さまざまな大学においてリアルタイムに化学物質を分析できるイオン移動度分析を研究テーマとしてきました。研究所では作業環境中の多種多様な化学物質をリアルタイムに測定できる分析装置の開発を行っています。現在、リアルタイムかつ正確に作業環境中の化学物質を分析することは難しいのが現状です。実際、化学物質の中には特定作業等において短時間にもかかわらずばく露することにより、人体に悪影響を及ぼすものもあります。私はリアルタイムに化学物質ばく露量を測定できる装置を開発し、労働現場に役立つ研究を行いたいと考えております。私自身の専門分野を活かした研究において社会に貢献できることに非常にやりがいを感じています。
人間工学研究グループ 主任研究員 杜 唐慧子
令和2年に任期付き研究員として採用、令和5年に任期を付さない研究員として採用
私は令和2年に任期付き研究員として労働安全衛生総合研究所に着任し、パーマネント審査を経て、現在は在職5年目を迎えています。大学・大学院ではスポーツ科学のバイオメカニクス(生体力学)を専攻し、主に動作解析の手法を用いて、身体にかかる力を推定していました。現在は、腰痛などの筋骨格系障害の発生要因や予防対策について研究しています。研究所に入所する前はスポーツ選手を対象としていましたが、入所後は労働者を対象とした研究に取り組んでいます。入所時はちょうど新型コロナウイルスの流行期であり、在宅勤務環境と姿勢・動作との関連を調べ、在宅勤務環境のセルフ評価方法と改善策を提案しました。現在は、重量物を持ち上げる際に身体、特に腰部にかかる力を推定し、日本人に適した持ち上げ重量の基準値を、さまざまな姿勢や動作から検討しています。また、陸上貨物運送業における腰痛問題に関して、現状調査や予防・介入対策の検討にも取り組んでいます。実験だけでなく、数値シミュレーション、アンケート調査や現地調査など多様な研究手法を用いて、働く人々の作業環境の改善や、健康で長く働き続けるための科学的エビデンスを社会に提供していきたいと考えています。
過去の任期付研究員として採用された先輩の声:登戸地区(労働衛生分野)
過去の任期付研究員として採用された先輩の声:登戸地区(労働衛生分野)はこちらからご覧いただけます。
・ 過去の任期付研究員として採用された先輩の声:登戸地区(労働衛生分野)