平成22年度 表彰対象論文・著者
平成22年度 表彰対象論文・著者
産業安全分野
タイトル |
Experimental Study on Electrostatic Charging of Polymer Powders in Mixing Processes |
著者 |
崔 光石(電気安全研究グループ)et al. |
掲載雑誌 |
J. Loss Prevention in the Process Industries, Volume 23, Issue 5,September, 2010, pp. 594-600 |
インパクトファクター |
1.01(5年平均インパクトファクター) |
論文の概要 |
粉体混合は様々な生産工程に適用されているが、静電気による障害が大きな問題になっている。本論文では、粉体を混合する際に発生する静電気を定量的に測定した。さらに、交流型除電器による静電気防止の有効性について調べた。実験は、ファラデーケイジ型混合装置を使用し、試料はポリエチレンを用いた。主な結果によると、粉体の比電荷は混合速度に依存し、早いほど大きくなった。一部の値は、実際の現場で静電気による障害を引き起こすレベルまで達した。粉体を混合する際に、静電気防止用の交流型除電器が有効であることを確認した。 |
労働衛生分野
タイトル |
Early Pregnancy Blood Lead levels and the Risk of Premature Rupture of the Membranes |
著者 |
Mohsen Vigeh(有害性評価研究グループ)et al. |
掲載雑誌 |
Reproductive Toxicology, Volume 30, Issue 3, November 2010, Pages 477-480 |
インパクトファクター |
2.96(5年平均インパクトファクター) |
論文の概要 |
この研究は、鉛の低濃度ばく露が妊娠している就労女性の健康にどのような影響を及ぼすかを検討したものである。妊娠が確認された332人の女性(16?35歳)に対して妊娠初期(8?12週)に血液を採取しその後の経過を観察した。血中鉛濃度は誘導結合プラズマ質量分析計を用いて測定した。その結果、36人の前期破水(PROM)分娩群では、296人の非PROM分娩群と比較して血中鉛濃度が有意に高かった(それぞれ4.61±2.37、3.69±1.85、p<0.05)。ロジスティック回帰分析からは、対数変換した血中鉛濃度の1単位増加はPROMリスクをオッズ比=18.0(95%信頼区間1.6?198.6)と増加させることがわかった。このように、鉛は平均血中濃度5μg/dl未満でも妊娠女性においてPROMのリスクを増加させる可能性が示唆された。日本の労働環境はすでに大幅な改善がなされており血中鉛濃度が5μg/dlを超える例はあまり多くない状況である。しかし、本結果より妊娠中の女性労働者においては更なる配慮が必要であることが示唆された。 |