技術資料 TD-No.1 の抄録
生産業務と安全管理業務との協調による労働安全衛生マネジメントの推進
TD-No.1 |
島田 行恭 |
平成11年,労働現場における事故・災害の一層の減少を図ることを目的として,労働安全衛生マネジメントシステム(Occupational Safety and Health Management System;OSHMS)の導入と普及・定着に向けた「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が公表された.この指針は,平成17年の労働安全衛生法の改正によってリスクアセスメントが努力義務化されたことなどにあわせて平成18年に改正されている.OSHMSでは,1.トップの安全衛生方針に基づき,適切かつ有効に実施・運用していくための全社的な推進体制の整備,2.リスクアセスメントの実施,3.PDCA(Plan;計画,Do;実施,Check;評価,Act;改善)サイクルによる一連の自主的な活動の継続実施及び 4.手順化,明文化及び記録化により安全衛生管理を推進することとされている. プロセス産業における安全管理は反応物質の危険性評価だけでなく,安全なプラント設計,健全なプラント建設,生産業務開始後の運転及び保全業務などを含めたプラントライフサイクルにわたる業務を通じて実現される.安全管理業務を特別なものとせずに,通常の生産業務と協調して実施するためには,生産業務における管理の目的と仕組み,業務の流れ,関係する情報やその流れなどを明示した業務プロセスを体系化するとともに,その業務プロセス上で安全管理業務の位置付けを明確にすることが重要である.製造現場においても明確な体系や位置付けの下,安全管理業務として何を実施すべきかといった具体的な内容の提示も望まれている. 本資料では上記の課題に対する具体的な解決策を示すために,次に示す三点について安全管理の体系化と具体的な取り組みについてまとめた.
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