労働安全衛生総合研究所

任期付研究員として採用された先輩の声:登戸地区(労働衛生分野)

各グループが取り組む研究活動

 任期付き研究員として採用された研究員は、審査を経て任期を付さない研究員として新たに採用された後も、公私ともに様々な経験を積み、現在、以下にご紹介するように様々な分野で活発な研究活動を行っています。

産業保健研究グループ 上席研究員 井澤 修平

平成21年に任期付き研究員として採用、平成24年に任期を付さない研究員として採用

 私は平成21年に3年間の任期付き研究員として入所し、パーマネント審査を経て今年で在職10年目を迎えました。私は大学・大学院では心理学やその関連領域を専攻しており、主に人のストレスについて生理学的な側面から研究をしていました。研究所に入所してからは、特に労働者のストレスについて、唾液、毛髪、爪などの非侵襲的な試料を用いて、職場のストレスとの関連をみるような研究を行っており、文部科学省の科学研究費も積極的に活用しながら研究を進めています。また、現在、所内では過労死等の研究にも携わっています。過労死等には、脳・心臓疾患、精神疾患(うつ、心的外傷後ストレス障害、自殺など)が含まれますが、長時間労働のみならず、ストレスも大きなリスク要因と言われています。トラックドライバー、看護師、IT系労働者から、長時間労働やストレスの生理学的な影響を見るために、唾液や毛髪を採取するような研究も行っています。過労死等の防止に関しては、国全体で取り組みを行っている最中であり、その取り組みに少しでも貢献できるような科学的なエヴィデンスを提供していきたいと思っています。


化学物質情報管理研究センター有害性評価研究部 上席研究員 柳場 由絵

平成22年に任期付き研究員として採用、平成25年に任期を付さない研究員として採用

 私は、平成22年4月から任期付研究員として労働安全衛生総合研究所に着任し、平成25年4月に任期のないパーマネント研究員として採用され、現在に至ります。所属している研究グループは、産業現場で発生したさまざまな中毒症例や化学物質に起因する職業性がんなどの病因や発生メカニズムを解明すべく、細胞や動物を用いた実験研究を行っている研究グループです。私は、主に化学物質の代謝にかかわる薬物代謝酵素を介した毒性について研究しています。この研究所は、実際の作業現場で起きた事象について作業と疾病の因果関係を解明するための実験研究から、予防対策の開発にかかわることができる点が大きな魅力であると感じます。また、最近では、災害調査に関わることで、実際の作業環境での問題点と実験室での実験を関連付けて考えることができ、実験室内での成果を実際に起きている社会問題点に近づけた研究活動ができるということにやりがいを感じています。


人間工学研究グループ 上席研究員 劉 欣欣

平成22年に任期付き研究員として採用、平成25年に任期を付さない研究員として採用

 私は、平成22年4月から任期付研究員として労働安全衛生総合研究所に着任し、平成25年4月に任期のないパーマネント研究員として採用され、現在に至ります。私は、主に精神作業に曝される時のヒトの生理反応を研究しています。平成26年11月、労働安全衛生総合研究所の中に過労死等防止調査研究センターが設立され、現在は長時間労働による心血管系への負担を調べて、その負担の軽減策を検討しています。過労死等防止調査研究センターが設立された際、職務として過労死関連のシンポジウムに参加したことがあります。そこで過労死で亡くなった方の遺族から体験談が語られた際、思わず泣いてしまったことがあります。普段あまり泣かない私が、公の場所で涙してしまったことは自分にとっては不思議な経験でした。
 過労死で家族を失う悲しさを遺族の方々から見聞きすることで泣いてしまったのは、自分が想像していた以上の深い悲しみに触れたことがそうさせたのだと思います。そこからまた何年かの月日が経った今、振り返ると、あの時の涙は自分の研究の励みとなり、自分の知識と経験を活かして働く人々に役に立ちたいと強く思うようになったきっかけでもあると思っています。そして今、大変やりがいのある仕事に携わっていることを改めて感じています。


化学物質情報管理研究センターばく露評価研究部 上席研究員 山田 丸

平成24年に任期付き研究員として採用、平成27年に任期を付さない研究員として採用

 私は平成24年に3年間の任期付き研究員として当研究所に入所し,パーマネント審査を経て任期を付さない研究員として採用されました。私は主に空気中の微粒子(エアロゾル)の計測やばく露評価に関する研究を行っています。入所前までは大気科学の研究を行っていたため、労働衛生分野での研究ははじめ手探り状態でしたが、研究所の上司や諸先輩からの指導や適切な助言により、研究を円滑に進めることができました。現在までに、ナノマテリアル取り扱い時や放射能汚染土壌除染作業時の粉じんへのばく露等に関する研究を実施してきました。入所4年目に1年間、エアロゾル研究の分野で有名な米国ミネソタ大学において研究する機会を与えていただき(研究所の在外研究員派遣制度を利用)、派遣期間中、電子顕微鏡でのエアロゾル測定法やフィルターの性能評価に関する研究スキルを向上させ、一方で米国内での学会参加や米国労働安全衛生研究所(NIOSH)への訪問などを通じて海外の専門家との繋がりも築くことができました。帰国後はこれまでの成果を発展させ、当研究所内外の研究者で組織した研究プロジェクト代表者として、電子顕微鏡を使ったエアロゾルの測定方法の研究をスタートしています。職務で得た成果や知識が労働災害調査や労働現場の環境改善等に活かされたとき、大きなやりがいを感じます。


環境計測研究グループ 上席研究員 山口さち子

平成21年に任期付き研究員として採用、平成24年に任期を付さない研究員として採用

 私は平成21年に3年間の任期付き研究員として入所し、パーマネント審査を経て今年で在職10年目を迎えました。私の当研究所における役割は、職場環境での電磁界の生体影響を明らかにし作業者の皆さんへ安全性情報を提供することです。職業電磁界ばく露については2013年の欧州指令前後より国際的に関心の高いものの、日本では研究が進んでいない分野です。私は主に医療分野における電磁界の利用について、医学・工学両面から横断的に研究を進めております。例えば、ばく露調査や動作解析を利用した影響評価から現状を把握したり、調査票の解析を通じて電磁界への潜在的な不安要因の調査をしています。本年3月には研究成果の一環として医療機器における電磁界(非電離放射線)に関する資料を作成し、研究所HPより公開しています。
 当研究所の魅力として、何より自身の研究成果について行政や一般を含めた広い対象に発信出来る素地があることと感じます。したがって、アウトリーチ活動に興味をお持ちの方は研究以外でも力を奮うことができるのではないでしょうか。また、当研究所には様々な専門家集団がおり、研究を実施する上で先輩や同僚から質の高い助言を間断なく得ることが出来るのも魅力の一つです。また、入所後に自身にライフイベントの変化(妊娠・出産)がありましたが、研究所よりサポートがあることで現在も活発に研究活動を続けています。
 採用ページに興味を持って訪れてくださった皆様に、当研究所の様子や魅力が伝わりましたら幸いです。


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