労働安全衛生総合研究所

任期付研究員として採用された先輩の声:清瀬地区(産業安全分野)

各グループが取り組む研究活動

 任期付研究員として採用された研究員は、審査を経てほとんどの方が任期を付さない研究員として新たに採用されています。定年まで安定して働けるようになり、以下にご紹介するように充実した研究活動を行っています。

電気安全研究グループ 主任研究員 遠藤 雄大

平成28年に任期付研究員として採用、平成31年に任期を付さない研究員として採用

 化学工場等の危険物施設において火災原因となる有機溶剤の静電気帯電現象に関する研究を行っています。現在は、液体がノズル等から噴霧される際の帯電(噴霧帯電)について、各条件(液体の導電率、ノズル材質等)と帯電量の関係を調べており、その結果をもとに有効な帯電防止方法を提案したいと考えています。
 研究所に入る前は、大学でマイクロ波を用いた癌治療技術の研究をしていました。別分野から電気安全の世界に入り、戸惑うこともありましたが、先輩方の懇切丁寧なご指導(褒めて伸ばしてくれます)のもと、研究のほか災害調査等の業務にもあたり、この春(平成31年)に任期付研究員から任期を付さない研究員に昇格しました。
 研究を通じて新たな発見ができる、働く人々の安全に貢献できる等、多くのやりがいがある仕事だと思います。


建設安全研究グループ 主任研究員 平岡 伸隆

平成28年に任期付研究員として採用、平成31年に任期を付さない研究員として採用

 土砂崩壊による労働災害防止のための研究をしております。私の専門は地盤工学で、大学およびポスドクでは降雨による土砂災害の研究をしていました。当研究所に採用されてからは自然災害から労働災害にフィールドが移りましたが、土砂崩壊のメカニズムは同じため、今までの専門知識を活かした研究を行えています。
 当研究所の大きな特徴として、災害調査があります。労働災害が発生した現場に赴き、原因の究明と再発防止策の提案を行います。それと同時に、現場の最前線で何が起きているのか、どういった課題があるのか抽出し、それを解決するために日々、研究を行なっております。また、過去の災害事例からも特に解決が必要な課題について分析し、優先的に研究を行います。ニーズの高い研究をすることで責任もありますが、非常にやりがいのある研究をすることができます。土木の専門知識を活かして人命を守るという使命感のもと邁進しております。


化学安全研究グループ 上席研究員 佐藤 嘉彦

平成25年に任期付研究員として採用、平成28年に任期を付さない研究員として採用

 危険性を有する化学物質に起因する爆発火災災害の防止を目的として、反応性物質の熱分解や反応暴走のメカニズムの検討、化学プロセスの的確なリスクアセスメント・マネジメント手法の検討を行っています。また、それらの知見を活かして大規模な労働災害や発生メカニズムが複雑な労働災害等の原因調査、再発防止対策の提言を行っています。
 爆発火災による災害は、全体の件数から見ると少ないですが、一度発生すると複数の方が被災する重大災害となる傾向があり、さらに災害防止に寄与する知見を得て、提供していくことが求められています。そのニーズに応えていくことにやりがいを感じています。それには、自分の研究分野だけにとどまらない幅広い知見が求められますが、すぐ隣に異なる分野の専門家がいる環境ですので、必要に応じて支援をいただきながら、研究を進めています。


リスク管理研究グループ 上席研究員 高橋 明子

平成24年に任期付研究員として採用、平成27年に任期を付さない研究員として採用

 労働災害が発生する背景にはヒューマンエラーや不安全行動など、労働者の心理的な問題が関わっていることが非常に多いです。私は重大災害の多い建設業に着目し、心理学や人間工学の観点から建設作業者の危険認知のメカニズムの解明や、安全教育手法の考案と教育訓練効果の検証の研究に取り組んでいます。
 研究所に入所してからタブレットを用いた建設作業者向けの危険予知ツールを作成しましたが、現在では建設業に限らず様々な業種の方々に注目していただき、少しずつ産業場面で使われ始めています。研究は、計画立案、実験、分析とすべて一人で行うので大変なところはありますが、建設現場へ伺って作業者の方々の生の声を聴けるのはとても楽しく、労働現場や労働者、社会に直結した研究ができることにやりがいを感じています。


建設安全研究グループ 上席研究員 吉川 直孝

平成22年に任期付研究員として採用、平成25年に任期を付さない研究員として採用

 現在、トンネル建設工事中の肌落ち(落盤)災害、粉じん障害、建設機械との接触災害等を防止するため、調査研究に従事しています。トンネル建設工事では、掘削面が露呈していれば、そこから岩石がいつ落ちてくるかわからない状況にも拘わらず、未だに作業員さんが掘削面に近づかなければならない作業が残されています。このような状況を改善するため、掘削面を安定化させ、変状を監視するシステム等を調査研究しています。
 それに加えて、厚生労働省等と協力しガイドラインを作成し、業界団体と協力して対策に係わる書籍を発行しています。国際的な活動、例えば、国際トンネル協会の安全衛生ワーキングにも参加し、国際的なガイドラインの作成にも尽力しています。このように行政や業界団体と協力し、日本の安全衛生の将来の方向性を示すことによって、当研究所だけでなく業界全体が一体となり、多くの尊い命を救うことができます。 当研究所は、意欲を持って積極的に取り組む人であれば、国内でも国際的にも大きく飛躍できる研究所です。ほとんどの方が任期を付さない研究員に採用され、安定した生活環境のもと優れた研究成果を出しています。日本の安全衛生のより良い向上のため、当研究所に入所いただける方を待ち望んでいます。


機械システム安全研究グループ 主任研究員 山口 篤志

平成21年に任期付研究員として採用、平成24年に任期を付さない研究員として採用

 任期付研究員として採用されて1ヶ月も経たないうちに、当所の業務の柱の一つである災害調査の依頼があり、災害現場での状況把握や調査をはじめ、諸先輩方の仕事ぶりに感銘を受けたことを今でも思い出します。任期付研究員の頃は、専門性を活かした労働安全に資する研究業務を行い、諸先輩方だけでなく、他グループの方々からもアドバイスを頂いてきました。これらのサポートを受けて研究業績を残すことができ、任期を付さない研究員に採用されるに至りました。このように任期付研究員に対する研究環境やサポート体制は充実しており、働きやすい職場となっています。
 近年は、専門分野と労働災害の防止を軸に据え、減肉を有する円筒胴容器の強度評価やDIC(デジタル画像相関法)を援用した構造物の応力評価などの新しい分野に挑戦しています。さらには、当所の海外研修制度を利用して研鑽を積むこともできました。研究業務と災害調査業務で毎日が目まぐるしく過ぎていくなか、これらの業務が労働災害の防止や新しい研究の発掘につながっていくことは有意義と思います。


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